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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-36

第11話 『夜のお茶会』


「飲物とお菓子? へぇ、どんなの?」
 葵が階段を下りて、シープが押してきたワゴンの側に駆け寄る。遅れてめぐみもやって来た。

「飲物の方は、アリーランド特産の果物を加工して作られた割と普通のジュースですが、お菓子の方は、アリーランド全土に広く伝わっている一般的なお菓子を、最高の料理人と最高級の材料を使って作った逸品ですよ」
 シープがお菓子の皿の上に乗せられた布巾を取って、誇らしげに解説する。
「へぇ〜、随分サービスいいじゃない」
 葵は皿の上に乗ったお菓子を興味津々の目をして見つめる。
「それはそうですよ。王子がわざわざ異世界から御招きになった大切なお客様ですから、これぐらいのおもてなしはしないと」
「……ちょっと前と態度が違いすぎない?」
 シープの態度の極端な変化に、葵は少し警戒する。
「……細かいことはお気になさらずに」
「気になるわよ。もしかして、毒でも入れたんじゃないでしょうね」
 葵が顔を近付けて上からお菓子を覗きこむ。

「……疑り深いわねぇ。なら正直に言うわ。実は計画を変更することにしたのよ」
「……計画を変更?」
「つまりね、その娘はディグとルーシーの子なんでしょ。それだと、王子に嫁いで玉の輿に乗るっていう私の計画がかなり危うくなるのよ」
「なんで?」
 めぐみが不思議そうな顔でシープを見る。
「それはね、いまだに王子よりもディグの方が国王にふさわしいと考えてる人が多いからよ。王子を次期国王に推す人達が、ディグを推す人達を黙らせるには、王子とそのメグミって子を結婚させて、ディグに王子と手を組ませるのが最善の方法ってわけ」
「えぇっ!?」
 めぐみが驚きの声をあげるのと同時に葵が怒鳴り出す。
「冗談じゃないわよ! めぐみクンはあたしの恋人なんだから! 勝手に王子と結婚させないでよ!」
「あれ? そうなの? でも、そんなの関係なく王子とこの子を結びつけようと考える人は出てくるでしょうね」
「絶対阻止してみせるわ。そんな企み」
「まぁ、阻止してくれれば、私の玉の輿の可能性も高くなるから応援するけど。でもね、阻止できなかった場合、私の出世はメイド長止まりってことになりかねないのよ」
「そんなの知らないわよ」
「だから、もしものことを考えて、私を差し置いて未来の王妃様になるかもしれないメグミちゃんとも仲良くなっておこうかなぁ、とか思ったのよ」
「……それで、飲物とお菓子を持ってきたってわけ? ものすごく打算的な女ね、あんたって」
「いいじゃない。なんだったら私も王子とその子の結婚阻止に協力するわよ」
「ご心配なく。そもそもそんなことありえないわよ!」
「……だといいけど。とにかく、折角用意したんだから食べてみて。すっごく美味しいわよ」
 シープが皿のお菓子を一つつまんで自分の口の中に放り込む。


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