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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-30

……その頃、滝川家では……

「ただいまぁ」
 玄関から聞こえてきた声に、葵の母が茶の間から急ぎ足で出てくる。
「葵? どこ行ってたの、もう暗く……ひっ!?」
「どうしたの? お母さん」
「お、お母さんって……あなた、誰?」
 玄関で腰をぬかして座り込む葵の母の前に、身長2メートルを越す、めぐみ達の学校の制服を着た少女……とはとても思えない、いかつい顔の人物が立っていた。
「やあねぇ、葵じゃない。わからないの?」
「あ、あ、あ、葵? う、嘘!?」
「声聞いてわからない? あ・た・し・は・あ・お・い」
「こ、声は確かに、あ、葵だけど……」
 バーグ三兄弟は声帯模写のスペシャリストだった。
「でしょ? 見た目はイメチェンして少し変わったけど、あたしは葵だってことには変わりないわ」
「イ、イメチェン、なの? ず、随分思い切った、というか、その……ほとんど別人というか……」
「へへ〜、すごいでしょ? 今、こんな感じにするのが秘かなブームなんだよ。めぐみクンだってこんな風にしてるんだから」
「め、めぐみクンって、ふ、藤沢君まで、こんな姿になってるの!?」
 葵の母の脳裏に、自分の娘よりも華奢な体格のめぐみの姿が思い浮かぶ。
「そ、それは無理……なんじゃないかしら?」
「それができるからすごいの! もう、みんなスゴイスゴイって言って、仲間うちで大流行なんだから!」
「は、流行ってるの? ……こんなのが!?」
「うん、そう。ところで晩ご飯まだ?」
「え? あ、ちょっと待ってて今用意するから……」
 葵の母が台所へと向かう途中、一旦葵の方を振り返り、
「……お父さんが帰ってきたら、きっと卒倒するわね」
そうボソッとつぶやいた。


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