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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-23

第7話 『香水の誘惑』


「アリラリラン王子ってどういう人なの?」
 城内の廊下で、葵が前を歩くシープに尋ねる。

「……そうねぇ……一言で言うとただの馬鹿かしら?」
 こともなげに一国の王子を馬鹿呼ばわりするシープに、その後ろをついて歩いているめぐみと葵は驚く。
「ただの馬鹿って……いいの? そんなこと言って」
「いいのいいの。国民のほとんどが薄々わかってるわよ」
「でも、あんたは一応、その王子のお気に入りなんでしょう?」
「まぁね。どんな馬鹿でも王子に変わりはないからね。今のところ次期国王間違いなしって状況だし、それなら取り入る価値は充分あるわ」
「……取り入るって、あんたね……でも、なによ、その今のところってのは?」
「なにが?」
「だから、王子なんだから今の国王が死んだりとかしたら次の国王になれるんじゃないの? 違うの?」
「違わないけど。ただ馬鹿だからねぇ、王位を継がせてもらえない可能性もないわけじゃないわね」
「……この国では王子でも馬鹿だと王位を継がせてもらえない、なんてことがあるの?」
「何か不思議? 別にどこの国でもそうじゃない。わざわざ馬鹿に国王継がせて国力落とす国もないわよ」
 葵とめぐみは、この世界の王位継承が血筋よりも能力を優先しているということを知り、異世界に来たという事実を改めて実感する。

「それでも王子が次期国王になる可能性が高いの?」
「まぁね。他にこの人こそ国王にふさわしいって人もいないしね。それなら現在の王様の一人息子がそのまま王位を継いだ方が、ごたごたも起こらなくていいのよ」
「……大丈夫なの? この国……」
「さあ? でもなんとかなるでしょ。王子にはジョーカルがついてるし……何考えてるかわからない爺さんだけど有能なのは確からしいわ」
「ジョーカルって、ジョセフのことだよね?」
「ジョセフって名前だったかしらね? まあ、多分そう。そんな名前だった気がするわ。ディグ・フレイアとその妻のルーシー・フレイアが行方不明になってからは並ぶ者なきこの国最高の術者よ。王様以上の爺さんだから、もう王位は望めないけど」
「誰なの? その、ディグとルーシーって?」
 それまで黙って話を聞いていためぐみが質問する。するとシープは歩みを止めて後ろの二人を振り向くと、やれやれというように、一回大きなため息をついてから話を続ける。

「あなた達、異国から来たそうだけど……本当になんにも知らないのねぇ。ディグとルーシーといえば、世界に名を轟かせたこの国の大英雄よ。この二人がいなかったら、今ごろアリーランドは隣国ナクティフの植民地になってたでしょうね」
「そんな英雄がなぜ行方不明になったの?」
「それは私が生まれて間もない頃の話だからよくわからないわ。ま、アリラリラン王子に嫌われて暗殺されたって噂もあるんだけど」
「え? どうして?」
「王子よりも民衆に支持されてたからだそうよ。それで次期国王の座に不安を感じた王子が、ジョーカルの助けを借りて人知れず……ってことね」
「でも、その二人って相当術者だったんでしょ? ジョセフってその二人に勝てるぐらいすごい術者だったの?」
「知らないわ。ただの噂話だし、本当だとしても昔の話だしね……とりあえず、二人がどこに行ったかわからないってことだけは事実よ」


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