投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最初へ アッチでコッチでどっちのめぐみクン 19 アッチでコッチでどっちのめぐみクン 21 アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最後へ

アッチでコッチでどっちのめぐみクン-20

第6話 『シープ様登場!』


「こちらの部屋でお待ちください」
 めぐみと葵が同じくらいの年頃のメイドに案内されて来た部屋は、とても広くてたった二人のために用意されたとは思えないものだった。
「……あの……本当にこの部屋なんですか?」
 大広間としか思えない部屋の広さに圧倒された葵は、メイドに一応の確認をする。
「はい、ここです。間違いありません」
 葵は、この部屋で間違いないと聞いて改めて部屋の中を見回す。
 部屋の中央付近には階段があり、階段の下から見上げると、天蓋つきのベッドやいくつかの本棚のてっぺんの部分だけが見える。
 部屋の壁にはいろいろな絵画や彫像が飾られているのだが、一点一点の距離がかなりあって全てを見ようと思えば相当歩かされそうである。その中の一つに、部屋のどこにいても見えそうなくらい巨大な肖像画が飾られているのだが、これはたぶん国王の肖像だろう。
 肖像画の手前には十を越える椅子が並べられたテーブルがあるのだが、部屋の大きさのせいかあまり大きくは感じられない。
 その他いろいろな調度品が目に入ってくるのだが、葵には豪華とも悪趣味とも判別がつかなかった。

「……落ち着けなさそう……」
 葵がぽつりと言葉を洩らすと、メイドは見下すような目をしてにやりと笑う。
「まぁ、お客様方にはこの部屋は不吊り合いかも知れませんね」
 その一言に葵の目がつり上がる。
「……なんか言った?」
「いいえ、別に」
「嘘言わないでよ。不吊り合いとか言ったでしょ?」
「あまり気になさらないで。さ、どうぞじっくり部屋の中をご覧になってください」
「言われなくても見せてもらうわよ」
 葵が再び部屋を観察しようとすると、メイドが追い打ちをかけてくる。
「一般庶民にはこれが最初で最後の経験となるでしょうから、しっかり見て一生の思い出にしてくださいね」
 この一言で完全に頭に血が上った葵が、メイドにくってかかる。
「ちょっと、何よその言いぐさは! こっちは王子に呼ばれてわざわざ来てやったお客様よ!」
「王子に呼ばれて異国から来たといっても庶民は庶民。この城にはそぐわない存在ではないかしら」
「自分だって庶民なんじゃないの!? メイドなんかやってるんだから!」
「……甘いわねぇ、私をただのメイドと思ってもらっちゃ困るわ。次期国王の花嫁最有力候補のメイド長、シープ・チャイルとは私のことなんだから」
「はぁ!? 次期国王の花嫁最有力候補? しかもメイド長? あんたが?」
「そうよ。ね、ただのメイドじゃないでしょ?」
「……あんたみたいなのが王妃になれるの? てゆうか、それ以前にメイド長になんでなれたの?」
「失礼ね! 私は王子の寵愛を一身に受けて、この若さでメイド長にまでのぼりつめたのよ」
「……色仕掛けで成り上がったってだけで、あんたも庶民なんじゃないのよ」
「脱出するのも時間の問題よ。私は近い将来王妃になるんだから。そうなったらもう誰も私を庶民とは言えなくなるわ」
「王子が『し・よ・み・ん』のあんたを花嫁にするの?」
「なに強調してんのよ……その点は大丈夫よ、代々の王はみんな血筋にこだわらないで結婚相手を選んでるし。だから王子が私を花嫁に選ぶことは間違いないわ」
「わからないわよ。もっといい相手が現れるかも」
「ふふん、私より可愛い女の子なんてこの世のどこにも存在しないわよ。あの面食いの王子が私以外の娘を選ぶなんてありえない話だわ」
「……すごい自信ね」
「もちろん、揺るぎない事実に裏打ちされているもの」


アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最初へ アッチでコッチでどっちのめぐみクン 19 アッチでコッチでどっちのめぐみクン 21 アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前