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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-12

第4話 『アリーランドへ行こう!』


 ジョセフと名乗る老人が消えた後、恵は大急ぎで自宅に戻って両親のそれぞれの勤め先へと電話をかけた。
 そして両親が今日は休みをとっているという事実を確認すると、受話器を置いて、電話の前で呆然とする。
 その後、家中を捜し回ってみるが恵の両親の姿はどこにもなかった。
 後を追いかけてきた葵と哲太も動揺を隠せないでいる。

「ど、どういうことだよ!?」
「……あたしに聞いたって知らないわよ!」
「……こことは違う世界……」
「そ、そんなとこ行けるのかよ!?」
「だから、あたしに聞くなっ!」
「……でも、ジョセフさんは行ったんだ……ボクのお父さんと、お母さんも……」
「恵クンの両親まで行ったとは限らないじゃない。ただ仕事に行ってないってだけで……」
「……だったら、どこにいるの?」
「それは……」
「……朝から、二人の様子は変だったんだ……なんか、すごく……」
「それが、違う世界への里帰りのせいだって言うの?」
「……それは……わからないけど」
「二人とも具合が悪くて病院にでも行ってるだけかもよ」
「……」
「……ねぇ?」
「……」
「もし……ホントだったら、恵クンはどうするの?」
「え?」
「だから、あのお爺さんの話……」
「……本当だったら……行ってみたい、アリーランドへ。ボクのお父さんと、お母さんが生まれ育ったという国へ……それに……」
「……それに?」
「ジョセフさんは、ボクはわざと女の子のように育てられたって言ってた……それって、ボクは男に生まれてきて歓迎されなかったってことかも……」
「何言ってるのよ! 恵クンが男の子に生まれてきて悪いことなんて何も無いじゃない!」
「……でも、お父さんやお母さんは女の子が欲しかったのかもしれないし……」
「自分達に合わせただけじゃないのか?」
 恵と葵の話に哲太が口を挟む。
「え?」
「だからよ。恵の親父さんは女っぽいし、お袋さんは男っぽいだろ? だから子供もそうしようと思ったんじゃねぇの?」 
「……なによそれ。そんな理由なわけないじゃない。ま、あんたらしい発想だとは思うけど」
「……てめえ、ぶん殴るぞ」
「ふん、やれるもんならやってみなさいよ」
 再度小競り合いを始める二人の横で恵は首を傾げる。
「……ボクのお父さんとお母さんのことにも、なにか理由があるみたいに言ってたけど……」
「とにかく、恵クンの御両親が帰ってきたら、どこに行ってたか聞いてみればいいじゃない」
「ま、どこに行ったとしても、そのうち帰ってくるだろうしな」
「……そうだね。帰ってくるのを待てばいいよね」
 二人の言葉に恵は小さくうなずいた。


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