fantasy ability・6‐“覚醒”!そして、無意識の中の会話‐-6
「一体、何しているのよ?皇?」
「‥‥何も言わないが、ただ、かわしているだけだ。」
「嘘よ!?二週間前は私が完全に勝(まさ)っていたのよ?」
「そうだな。‥‥しかし、今は“力”を理解しつつある。そして、俺には“何のために何の力”が在るのかと、わかりつつある。」
「どういう意味よ!?」
「‥‥何の“罪”なのか知らないが、それに対する“モノ”なのかと、俺は思っている。‥‥違いますか?司義莉さん?」
皇希がそう言った瞬間、織音側にある林の一部がガサッと動き、司義莉が出てきた。
「‥‥流石、勘だけは見事なまでの天才だな。」
司義莉が二人に歩き近づき喋る。
因みに、本来の姿である。
「お父様!?何時から、そこに?」
「まぁ、お前らがここに来て、十分後ぐらいかな。しかし、皇希君は俺の事に気が付いたらしく見ていながら、かわしていたがな。」
司義莉は皇希を睨んだ。
「‥‥偶然ですよ。」
「そうか?‥‥君は気が付いているのだろう?“覚醒”の時に“力の暴走”がある事を‥‥。」
「不定はしません。勘だけはいいと思っているので‥‥。」
司義莉はその一言を聞き、さらに皇希を睨んだ、再度喋った。
「君は凄いね。自分の“力”を解放しない為に、その幻想具現化は双剣のままなのだろ?」
「そうだとしたら?」
「それは君が望んでやっているのか、それとも、もう一人の“君”がやっているのか、と聞いているのだが?」
「知りません。」
「そうかい。じゃあ、この話はもう関わらないでおこう。」
司義莉は神城家一同と織音の方に向いた。
「久しぶりだな、梛。」
「そ、そうですね。」
「まぁまぁ、そう固くなるな。楽にしろ、楽に。皆もだ。」
「「「「「「「は、はい。」」」」」」」
「‥‥やれやれ。まぁ、いいか。」
神城家一同は緊張をほぐし始める。そこで、織音が司義莉に質問をした。
「お父様?何故、今頃になって出てきたのですか?」
「ん?それは二人の喧嘩を止めに来たからさ。」
「なら、何故公園の所で出て来なかったですか!?」
「‥‥“奴等”に監視されていたのを気が付いたのは皇希君だけか。」
司義莉はちらっと皇希を見た後、視線を戻した。
「‥‥監視されていた?あの時に?」
「ああ。だから、皇希君は場所をここに移したと思っているのだが?」
「‥‥何も言いません。」
「君には言ってないが?」
「‥‥」
皇希は拳を握る。が、すぐに解いた。
「‥‥話を元に戻そう。ここ‥神城家なら、ある程度平気だろう?」
「‥‥それだけなの?お父様?」
「‥‥鋭いな。もう一つの理由は、皇希君の“覚醒”が関わってくる。‥‥食堂に行こう、ここでは監視されている。」
司義莉は自分が出てきた方の林を睨んだ。その直後、一部の木の枝がガサッと動いた。