fantasy ability・6‐“覚醒”!そして、無意識の中の会話‐-20
「‥‥私じゃあ、役不足なの!?」
「違います!‥‥織音様、貴女には彼の気持ちは重すぎます!それは、俺も司義莉様もです!だから、ここは彼の判断で任せてはいかがですか?」
「っ!わかったわ。いいわ、皇は確かに私を受け入れてくれたわ。それは、なかなか出来ない事よ、‥‥皇に判断を預けるわよ!」
凰輝は、なんとか織音を説得した。
すると、今まで黙っていた皇希が喋る。
「凰輝さん、ありがとうございます。」
「‥‥いや、いいんだ。君の気持ちは‥‥わかるから‥。」
皇希は、凰輝に対して深い礼をした。その直後、織音を見た。織音は、ビクッと震えたが、すぐに震えは止まる。
すると、皇希は久しぶりに笑顔で話し始めた。
「‥‥織音?君を不安にさせたくはない、それは俺のわがままだが、許してくれ。」
「‥‥いいわ。」
「そうか、ありがとうな。」
皇希は織音を笑顔で礼をすると、突然、一歩だけ後ろに下がった。
「「っ!!」」
織音と凰輝は、慌て近づくが、見えない壁に当たったのか弾き飛ばされた。
「‥‥皇?これは何?」
「‥‥結界だ。今‥このチャンスを生かして、会えるか解らないが“ある者”に会いに行く。‥‥たぶん、凰輝さんはわかる筈です。」
「‥‥‥」
「‥‥どうしてよ?」
「それは、っ!」
〈ドン!‥ドタン!〉
皇希は、不意に背中を押された!結界に当たったと思ったが、なんとすり抜けたのだ。
「っ!体が動かない!?」
どうやら皇希は、起き上がろうとするが、体が動かないらしい。
「あなたは誰よ!?」
「‥‥‥」
織音は当然尋ねるが、凰輝は無言で、敬意を表す。やはり、騎士が王を敬う姿勢であった。
「??」
「‥‥‥」
「っ!まさか?‥‥おい!そいつと話をさせろ!」
「‥‥神城 凰輝?それは不要ですよ?」
「‥‥いえ、どんな時でもやらないといけません。」
「まぁ、いいわ。」
「おい!無視するな!」
その女性は、織音を見た。その真剣な、そして重みの瞳に、織音は一歩退く。
「天神 織音さん?失礼しますが、貴女の質問は、彼‥皇希に聞かれたくないので、お答え出来ません。ごめんなさいね?」
「皇の?‥‥なら、私はこのまま皇の無意識に残るということは?」
謎の女性は考える。しばらくして喋る。
「そういう事でも貴女は、この重みに耐えられないと思います。」
「ダメなのね?‥‥どうしても。」
「はい。」
「そう、わかったわ。‥‥」
すると、凰輝が動いた。どうやら結界から、出るらしい。
しかし、また当たると思いきや、難なくすり抜けた。