fantasy ability・6‐“覚醒”!そして、無意識の中の会話‐-19
‐現実と幻想が絡む世界‐
「‥‥よぉ、久しぶりだな。皇希君?‥‥ここは、“真実”と“幻想”が絡む世界だ。まぁ、俗に無意識だな。」
「っ!凰輝さん!?」
皇希の前に、なんと凰輝がいたのだ!しかも、本当の姿らしく、前の皇希の姿とは違っていたのだ。
その容姿は、まず、皇希とは身長が違っていた。皇希よりも、10センチ大きかった。因みに、皇希は173センチである。
次に、体型は猫背なんて知らないような正しい背骨をしていて、また、筋肉質だけでなく太ってもない、いわゆる中肉中背だった。
最後に顔だが、やはり整えられた顔で、髪は金ではなく青だった。そして、瞳の色は両目とも緑だった。
「‥‥それが本当の姿ですか、凰輝さん?」
皇希は素直に質問した。そして、凰輝が喋る。
「そうだが、‥‥変か?」
「いえ、‥‥初めてだったので。」
「それもそうか。」
すると、いきなり二人ともが、同じ事を一緒に言った。
「「織音(様)!!‥‥出てこい(来てくれますか?)!」」
その直後、皇希の後ろから、織音が現れた。
「バレてた?」
織音は笑う。
「当たり前だ!」
と、皇希が怒り、
「当たり前です。」
と、凰輝が呆れる。
すると、織音が急に真面目な顔に戻り、喋り始める。
「皇?“力”は理解出来てるのでしょう?」
「‥‥ああ。」
「‥‥なら、私にその“力”を預けてくれないかしら?」
「‥‥それは出来ない。」
「‥‥やっぱり?どうしても?」
「しつこいな。この“力”が危険で重要な【存在】なのは知っている‥‥。」
織音は、珍しく皇希を激しく睨み付けた。
「‥‥なら、力づくでも貰うわ?」
そう言った直後、織音は皇希に対して身構えた。
すると、凰輝が急に喋り始めた。
「ちょっと待ってください!織音様?」
「‥‥何よ?」
織音は、凰輝に目だけで深く重いプレッシャーを与えた。
凰輝は、一瞬怯(ひる)むが即刻立て直す。
「皇希の中にいて、“決意”を決めている時、ある一つの【存在】が彼の気持ちを大きく関わっています。」
織音は少し考えた。しかし、数秒後にすぐに喋る。
「その【存在】は何?」
「‥‥それは俺からも、そして、その事を知っている司義莉様にも言えません。」
「‥‥お父様が知っている?」
「‥‥はい。」
「どうして知っているのよ?!」
織音はかなり動揺していた。そう、何故なら、凰輝はずっと皇希の中にいたから、知らない筈なのだ。
すると、凰輝はしっかりした口調で、そして重みのある声で喋る。
「‥‥それは言えません。何故なら、俺も司義莉様同様に、ある神からの条件だからです。しかし、いつか全てが一つの【真実】に繋がると言っておきます。」
織音は拳をぶるぶると震わし、なんと目には涙が溜まっていた。