fantasy ability・6‐“覚醒”!そして、無意識の中の会話‐-17
「何が可笑しい?」
「‥‥バカね?その為に、私がいるじゃない?」
「‥‥‥っ!しまった!」
「あら?気が付いたかしら?私は、皇の“運命”は、変えられないけど、‥‥貴方に対しては、可能なのよ?」
「くっ!‥‥止めろ!俺の中のコイツが、どうなってもいいのか?」
「‥‥皇は、ちゃんと言ったわ、“逃げない”って。それに、私を信頼してくれた“絆”を信じて‥‥、今、私がやるのよ!」
裏皇希は、逃げようとするが、振り向いた瞬間、二つの人影が皇希の体を捕まえた。
その二つの人影は、なんと、誠慈と光だった!
「よっ!久しぶりだな!」
「ふぅ、やっと追いついた〜。」
「‥‥よく間に合ったわね?二人とも。」
「今は“罪神”ですが、甘く見ないでくださいよ、織音様?」
「わかってるわよ、誠慈?」
「はいはい、そうですか。‥‥こっちはこっちで、いきなり家の周りに、奴等の手下が現れたと思ったら、貴女がいなくなるから、驚きましたよ?」
「あら?それは、ごめんなさいね。」
織音は、苦笑する程度だった。その様子に、誠慈の顔に、怒りのマークがついた。
すると、今まで黙って皇希の半身を掴んでいた光が喋る。
「もう!どうでもいいから、早くして!」
「あ、ごめんなさいね。」
「‥‥悪い。」
「くそっ!離せ!この!」
裏皇希は暴れるが、誠慈と光は、しっかりと離さないでいる。
「そろそろ終わりよ?‥‥遥かなる運命の輪よ!かの者に静を!そして!真なる者を呼び覚ませ!」
織音が詠唱した途端に、皇希の足元に魔法陣が浮かび上がった。
その数秒後、皇希を掴んでいた誠慈と光は、彼から手を離した。
当然の如く、裏皇希は逃げようとするが、魔法陣と同じ大きさの結界が瞬時に張られた!もちろん、光がやったのである。
数秒後、裏皇希は諦めたのか座った。そして、何故か、目を閉じた‥‥。
「っ!アイツ、まさか!?織音様!」
突如、光が叫ぶ。光は織音を見るが、織音は首を横に振り、更に喋る。
「‥‥光?私は、皇を信じているわ。‥‥大丈夫、彼は負けないわ、絶対に!」
「‥‥‥」
織音の言葉で、光は黙って皇希を見た‥‥。
‐???‐
「ここは何処だ?」
皇希は、深く暗い世界に立っていた‥‥。辺りには、壁や空が無く、地面すら感じられない、とても暗き場所だった。
すると、皇希の前から、明るく輝く光の円が現れた。
皇希は、戸惑いづつも前へと歩き始める。一歩、また一歩と、ゆっくり確実に足を踏み出す。
すると、いきなり皇希の前に、先ほどの裏皇希が現れた!