fantasy ability・6‐“覚醒”!そして、無意識の中の会話‐-16
「くっ!くそっ!この!」
なんとか、敵はクナイと片手剣で防ぐ。が、皇希は余裕の笑みであった。
すると、皇希が喋る。
「なかなかやるな!‥‥しかし、これならどうだ!?」
「なんだと!?」
皇希が、五行の魔法陣に触れた刹那、矢の速度があがった!
〈ピュン!!ピュン!!ピュン!!ピュン!!〉
「ぐっ!‥‥ぐわぁ!」
とうとう敵は、防ぎきれずに、一つの矢を当たってしまった。そうすると、止まる事無い矢だから、次々に受けてしまう。
〈ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!‥‥〉
「‥‥ふっ、よく持った方だぜ!?‥‥これで、終わりだ!死ね!!」
皇希は、魔法陣を素早く消して、幻想具現化を行った。出したのは、三メートルぐらいの両手剣だった。
それを、皇希は右手だけで持ち、信じられないがかなり速く鋭い斬りを放ったのだ。
〈ブォン!!!!〉
〈ザクッ!!!!〉
「‥‥く‥そっ‥!‥こん‥なバカこ‥とがある‥ものか‥‥!」
凄くでかい音が、辺りに鳴り響いた。そして敵は、そう言った直後、まっ二つになり、霧と化し消滅した‥‥。
辺りにいる大人達は、恐怖だとを知っているが、ぶるぶると震えているだけだった。一方、子供は、ただただ、泣く事しか出来なかった‥‥。
すると、織音が突然喋った。
「‥‥満足かしら?皇希?」
織音は、皇希の事を皇と呼ばなかった!何故だろうか‥‥?
「ん?どうした?何故?皇と言わない?」
「‥‥それは、貴方は、皇であって皇じゃないからよ?当たり前よ?」
「‥‥何時からだ?」
皇希の質問が変であった。‥‥顔からは、笑みは消えないが、驚いてもなかった。それどころか、逆に嬉しがっている様にも見えた。
「‥‥最初からよ。皇は、あんな高等な詠唱は、知らないわよ?」
「‥‥そうか。もう一つは?」
「流石ね。勘まで、引き継いでいるとは、思っていなかったわ。」
織音は、少し苦笑したが、すぐに緊張感を持った顔になって喋る。
「‥‥三日前、お父様がこう言っていたわ、
『もし、皇希君に“力の暴走”の状態になったら、気を付けろよ?
‥‥その時の彼は、別の人格だろう。彼の本来の人格は、無意識の空間に閉じ込められているだろう。
‥‥そうしたら、お前が助けてやれ!』
と、ね。」
織音は、どうやら司義莉から事前に聞いていたらしい。
その数秒後、皇希‥‥、いや、皇希の別の人格が言った。
「‥‥ふ〜ん、正解だ。確かに、俺はアイツの“不安”や“恐怖感”、“絶望”から、生まれた人格だ。しかし、今!!俺を、止められる奴は居ない!!」
そう、先ほどの戦闘を見れば、一目瞭然だった‥‥。溢れんばかりの“力”や“魔法”、そして、全てに対しての“絶望”‥‥。
しかし、織音は、クスッと笑う。