fantasy ability・6‐“覚醒”!そして、無意識の中の会話‐-15
「‥‥終わり?何を言っている?」
皇希がそう言った直後、クナイが皇希の体から勝手に抜け落ちた。
「‥‥‥」
敵はあまりの事に絶句し、顔に大量の汗が流れ出す。
「どうした?何をしている?来いよ?」
「‥‥何なんだ!お前は、お前は!」
「あーはっはっ、ははは、ふふふ、ははは。」
「‥‥‥皇。」
敵は何もしない。いや、出来ないのである。
何故なら、皇希の体の傷が、全部治ったからだ。もちろん、さっきクナイを受けた筈の傷も、一瞬にして治った。
「はぁはぁ、何なんだ、その治癒力は!?」
「‥‥どうした?来ないなら、俺と織音が、受けた分を返してやるよ!」
「!!??」
〈バシャッ!!!〉
皇希は言った刹那、敵の身体中からは、一瞬にして大量の血が出た!
「くっくっくっ!あーはっはっ!あはは、ははは、ふふふ!!!」
皇希は、その攻撃を、まるで子供が無邪気に遊ぶ様な雰囲気で、生き生きとしている。‥‥その様子は、辺りにいる普通の人間に、恐怖感を与えた。
敵は避けようとするが、皇希は一刹那、一刹那的に動いている為、なかなか出来ずにいた。
「ぐわぁ!ぶはっ!うぐ!」
〈ザクッ!ピシャリ!ザクッ!バシャッ!ザクッ!ビシャッ!〉
皇希は、殺人鬼よりも恐ろしい【存在】になっていた。返り血を浴びても、その顔は笑みのままで、辺りの人間が叫ぶが、気にせずに攻撃を止めないからだ。
〈バタン!〉
「‥‥‥」
とうとう敵は、全身から血を流しながら倒れた。
「‥‥ふふふ、おいおい!終わりかよ!まだまだ、お前には、受けて貰わないとな!」
そう言った直後、敵の倒れた所に、魔法陣が浮かび上がった!
「生命の息吹である水よ!彼の者に回復を!リカバリー・スチーム!」
すると、敵の体に小さな水蒸気が集まり、それが、傷を治していく。
数秒後、敵は立ち上がる。
「‥‥はぁはぁ、くっ!お前は、危険過ぎる!」
「ふん!知らないなぁ!?だが、織音の分は、まだ受けてないからな!‥‥いくぜ?」
敵は身構える。しかし、皇希は構えなかった。
「‥‥何をしているんだ?」
「くっくっくっ!お前なんか、これで十分だな!」
皇希は、空中に先ほど同様に、五行を描く!
「‥‥全属性よ!我が意に従え!スパイラル・ショット・アローズ!」
「!!??」
〈ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!‥‥〉
その空中にある五行から、それぞれの属性の矢が、次々に止まる事無く放たれた!