投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

clumsy
【学園物 官能小説】

clumsyの最初へ clumsy 7 clumsy 9 clumsyの最後へ

clumsyXclumsy-2

ー…
「ん…」
夢からの帰還は突然だった。
「あ…れ?俺…」
昼休み、槙の態度に苛ついて、屋上に寝転がった。気付いたら寝てて…
「ん?」
右手に感じる自分以外の体温に、眠い目を無理やり開けた。
「…ま…き?」
温かな体温は、隣で寝息をたてている彼女のものだった。
「…寝てる」
驚いた。
寝てる彼女を見るのは初めてで、ぶっちゃけ可愛いと思った。
(睫長い…)
普段の彼女の鬼のような顔(だって喧嘩しかしない)は、今や天使のような寝顔を浮かべていた。
(…可愛い)
頬はほんのりピンクに色づいて、ここだけの話、ちょっと見とれた。
(きっと俺以外の男は、こんな顔で話しかけられてるんだろな…)
“喧嘩腰は俺だけ。”
そう思うと、ちょっと虚しくなった。
(好きな子だから…いじめたくなる)
(怒って、その瞳が俺だけを見て…)
(俺だけを…見てほしくて)
泰牙は苦笑した。
(俺はガキだな。)
(素直になれたらいいんだけど…)
(どうやら俺は不器用で、悪態つかないと槙と喋れないみたいだ…)
「…好きなのにな」
槙の髪を指で梳いた。
キレイな髪は、太陽の光を浴びてキラキラ光る。思わず泰牙は目を細めた。

ー…
「…んぁ。」
(あれ、あたし…)
起きたら、日差しが弱くなってて…地べたに寝ていたせいかちょっと寒い。
ウマく働かない頭で、どうして今ここにいるのか考えた。
(屋上…あたし何で…あぁ!!!)
急に動きだした脳みそが、あたしを現実の世界へと引き戻す。
「よぉ…起きたか。」
「…!!」
声のする方には泰牙の姿。泰牙はあたしが握ってる手と逆の手で頬杖をついていた。
「えッ…いや、あの…これは…」
(恥ずかしい…!!)
自分がしてしまった事がどれだけ恥ずかしい事か自覚した。
(本当…穴があったら入りたい…。)
「…お前さぁ…意外と可愛い事すんのな」
「…!!」
思わず泰牙の顔を見た。
そこには穏やかに笑う彼がいて、また恥ずかしくなった。
(顔…熱い…。)
「なぁ…」
きゅっと繋いだ手に力が入る。
「俺さ…お前の事好きなんだよ。…でもな、あんまりウマく伝えられない…みたいだ」
「…うん」
「でも、好きだから。」
「…あたしも…好きだよ。」
「うん、知ってる。よくわかったよ、今日で。」
泰牙は嬉しそうに、繋がれた手に視線を移した。


clumsyの最初へ clumsy 7 clumsy 9 clumsyの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前