少年VS『公園の勇者』-2
『え、あのボール……返…』
『静かにしてろ、ここからは人間を超越した戦いだ。』
少年はポケットから鋭く光る……ナイフを取り出した。
『おいボールよ…。その自慢の球形型を今から切り刻んでやるぜ……?』
周りから見たら通報間違いなしの状況。
『や、やめてく…』
『だまれ!帰って宿題でもやってろ!』
なかなか家庭的な少年。
『さあショータイムだ…。』
少年は右手にナイフを持ち、左手にはボールを握り、ナイフを持つ右手を高く振り上げた。てかショーってお前。
『いくぞ、オレに殺される事に誇りを持て。』
その時、男の子は思っていた。「世界は広いなぁ……もっと賢くなって……この人の病気とかを治せるような医者になろう!」
夢よ叶え。
『ハァァ!!』
『ザシュッ!』
『フフ…どーだ痛いだろう?苦しいだろう?もっと地獄を見せてヤルッ!!』
『ザシュッ!!ザシュッ!ザシュッ!!』
何回も何回も刺しまくる少年。まさにキチガイ。
『フフ!!どーだぁボール君!ご機嫌いかがぁ!?』
『ザシュッ!!』
『アーハッハッハ!!オレは最高にご機嫌だぜ!!』
『ザシュッ!!』
ますますヒートアップする少年。素振りなんかよりいい運動だ。その時、見ていた男の子が―…。
『ねぇお兄ちゃん!!』
『なんだ!?宿題は終わったのか!?』
親父かよ。
『僕決めたんだ!!』
動きを止めた少年。
『なにをだ?生憎だかオレは弟子はとらない主義だ。』
『ううん!あのね!僕いっぱい勉強して……医者になって……お兄ちゃんみたいな病気を治すエラーイ医者になるんだ!!』
『ん?どこも悪くはないが……。』
『頭だよ。あたま。』
『いや別に標準な脳み…』
『いや、標準じゃないと思う。さっき「〜〜超越した」って言ってたじゃん!あれ頭を超越しちゃったんでしょ??』
『………んとね、…オレはフツーな…』
『あ、そろそろ帰るね!!ばいばい!』
『あ、ばいばい……』
公園からの帰り道、少年が見た夕焼けは…いつもより輝いて見えた。………涙を隠すように少年はそそくさと帰った。