今は。そしてこれからもずっと・・・-11
「花火…」
「は……」
「お前の花火が見たい。」
「…うぎゃあ…!」
俺は腕を振り上げると脅える男の一人の顔めがけて力を込めた拳を振り下ろす。
ぐしゃ……
花火。
地面というキャンパスに大きく描かれる花。
紅い紅い大きな花が一輪。
…美しい。
こんな屑野朗と言えど、人が創りあげる命の花は美しかった。
「あ…あ…」
隣で仲間を殺された男が返り血を浴びて不気味に佇む俺を恐怖に震えながら見上げる。
「さて…お前はどんな死に方がいい?リクエストに答えてやるぞ。」
「は…う…た、たすけて…」
弱々しく首を横に振りながらこの男も助けをこう。
「さて…首をはねられるのが良いか。心臓を握り潰されるのが良いか…」
「や…やめ…たすけ…」
「…五、四、三、…」
「ひい…だ、だれか…」
恐怖で動かない身体を引きずって逃げようとする。
その無様な様があまりに面白かったのでそのままにしてやる。
ズルズル……
まるでどこかのゲームに出て来たゾンビのように這いずり回る。
「ひい…い…たすけ…」
情けない声を弱々しく上げながら懸命に逃げる屑野朗。
先程までの強気の態度はどこへやらだ。
「残念だが、世の中そんなに甘くないぞ。」
「ひ、ひい…」
逃げる男の前に立ちはだかると男は方向を変えてまた無謀な逃亡を試みる。
「リクエストに答えなかったからな。両方の殺し方をしてやるよ。どうだ?嬉しいだろう。」
片手を男の左胸に当て、もう片方を首筋に当てる。
俺は手に徐々に力を込めた。
ズブズブと俺の指が男の肉を掻き分けて中に入り込んでいく。
「ぐぁ…ぎゃあ…」
肋骨をへし折り、さらに奥へと侵入した手がドクドクと脈打つものを握る。
「…ぅ…ぁ…ぉ…」
心臓をまさに握られると言った感覚はどのようなものだろうか。
なんともいえない顔をする男に笑いかけてやると、もう片方の手で首をはねてやる。
スパン…ゴロゴロ…
吹き飛んだ男の頭が飛び跳ねて転がる。
またしても地面に大きな花が描かれる。
「あと一人…」
振り向いて残る男を確認する。
恐怖で動く事すら出来ない男は、失禁していた。
「おいおい…そんな年にもなって、小便を漏らすなよ。」
わざとコツコツと靴で地面を鳴らして恐怖を煽りながら近づいてやる。
「………」
わなわなと振るえて動かない男。ただ首を振るばかりだ。
「詰まらんな。逃げるなり、命乞いをするなりしないと。」
「……っ…」
近づく俺に息を詰まらせる。
「さよならだ。」
「……」
恐怖に引きつる顔を、爪で引き裂いてはがしてやる。
形容しがたい鈍い音を上げて皮膚がはがれ散る。
「っ…ぁ…ぎゃああああああああ!!!」
そのまま、爪を男の身体に突き刺しては引き抜く。
じゅぷ…ぐちゃ…ず…
心地よい音楽を奏でる男の身体を痛めつけながら俺はその素晴らしい音楽に酔う。
ああ…人の絶叫は何故こうも心地よいのか。
この心に染み渡る苦痛。絶望。生への渇望。
しばらくすると男の息も絶える。
「もう壊れたのか…このおもちゃは、耐久性に難あり…だな。」
「さて…もう行くとするか。こいつらにも飽きた。」
おもちゃの後片付けもせずに俺は天へ飛び立った。
暗く、深い、空へ。
「待っていろ蒲乃菜。もうすぐ最上級の絶望を味あわせてやるからな。 是非お前の美しい声と身体で
俺を楽しませてくれ。お前が絶望に歪む顔が、楽しみで仕方ない。ああ…勃ってきたぞ。ふふふ…もうすぐだ…」