興味はゼロ!-6
第七章
意識のアーティは、まるで獲物を罠にかけようとする猟師のような目をして得意気に竜を見つめている。
「僕はあなたの姿を認めません。そしてそれを、数学の知識を使って実現します。」
「…よかろう」
意識のアーティはキッと気を引き締め、自信あり気に声を張った。
「あなたの姿を、ゼロで割りました。それはやってはならないこと、つまり僕はあなたの、その姿としての結果を認めないことにしました。あなたはもっとほかの結果を求めているはずでしょう?」
すると竜の意識が本体に戻った。さらにその姿は変化し、とうとうアシタバは人間の姿へと戻った。
「アーティ…ありがとう。」
アーティの意識も、本体へと戻った。
「出すぎた真似をしたのではないかと心配です。アシタバ、僕が言うのも変ですが、これでよかったのでしょうか?」
「ああ、これでいいんだ。」
アシタバはゆっくりと頷いた。そして話し始めた。
「アーティ、わたしは人を愛したかった。愛して、愛されるという結果を残したかった。それはかつてわたしが愛したアルテミシアのみに限らず、アルテミシアを愛し、愛されることで、他の人々も愛する心を持ち、そして他の人々からも愛されたかった。」
それはなんとも優しい声だった。アシタバは人間の体を懐かしむように、大袈裟なほど表情を変えながら言った。
「わたしはこれから別の結果を出してみる。そうだな、それは求めて与えられる知識のように、人を安心させるものになりたい。」
そう言い残すと、アシタバは精神の世界へ消えていった。
こうしてアシタバの精神は現実の世界に作用し、やがて大きな木という実体を持って現実の世界に姿を現した。これからその木と人々は、何百年も関わっていくことになるのだった。でもそのお話は、また次の機会に。