〜甘い果実〜-8
恥じらいに慌てて視線を外すリグの仕草に、ケインは不思議と顔が熱っぽくなるのを感じた。
「じゃ、じゃあ………いくよ。最後まで…見てて」
一瞬、ケインは何のことかわからなかった。
『全てをさらけ出せれば…変わらず居ても良い』
賭けを持ち出したとき、そう自分で条件を出したのだ。
見ればリグは最後の一枚に手を掛けた所ではないか。
「わ、判った!判ったから!!私の負けだ!!!」
これ以上はまずい。
どうしてあんな馬鹿なことを言ったのか…ケインは今猛烈に後悔していた。
ともかく止めさせるべく慌ててタオルを拾い上げると、それを広げて抵抗するリグの身体をむりやりくるんでやる。
「どうしてそこまで…」
「…………だって」
それきり、リグはうつむいてしまう。
「リグ?」
と、突然顔を見上げてくる。どうしたとたずねるより早くリグの口が開いた。
「ケインちゃんは、ぼ…ボクのこと、どう思うの?」
「え?」
突然の質問に固まるケインに、もう一度。
「本当の気持ちを聞かせて欲しいの。ボクのこと…好き?」
今までに無いくらい真剣な面持ちで見つめるリグに、ケインはどう答えたものか迷った。