〜甘い果実〜-6
乳白色の部屋。
四方を様々な専門分野の書籍で埋めた本棚で囲まれているそこはケインの私室である。
だが、昼を回った時間でありながら全ての窓をカーテンで仕切り、入ってくる光量を落としているのは何故か。
中央にある巨大な木造デスクに向かうようにして座っているケインは、厚みのある椅子の背もたれに身を預け、微かな明かりに照らされた正面の少女を見つめた。
「どうした、まだ始まったばかりだぞ」
「…う、うぅ〜」
言われたリグは顔を赤らめている。それも当然で、まだ年端も行かない少女は下着だけの姿となってケインの視線を受け止めていたからだ。
「何でもする。そう言ったのはお前だろう」
「そ、それはそうだけど…」
華奢な両腕で胸元を押し隠し、もじもじしている。
やはり世間知らずのお姫様といえども(いや、だからかも知れないが)他の人に肌をさらすというのはかなり恥ずかしいようだ。
内心でケインは狙いどおりに行っていることを確信し、満足した。
「…やれやれ」
わざとらしく大きな溜め息を吐くとケインは立ち上がる。何ごとかという表情で見上げるリグに向かって手にしていた大き目のタオルを投げて寄越した。
「……え?」
突然のことに訳がわからないリグに背を向けると、ケインはあらかじめ言うつもりであった台詞を伝える。