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〜甘い果実〜
【ファンタジー 官能小説】

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〜甘い果実〜-3

 焦りに汗が出るのを感じつつリグは首を振った。かしゃんかしゃんと、どこかに使われていたであろうバネが彼女の桃色の髪にひっかかり、ケインの足元まで転がってくる。
「…前に言っただろう、これ以上屋敷を破壊するなと」
「あうっ」
 今回は本気でヤバイ。
 そう本能で察したリグは急いで身体を起こすと彼のもとへ駆け寄った。
「か、勘弁してよぉ、ケインちゃん〜」
「………」
 足元にすがりつき、ぴょんこぴょんこと飛び跳ね必死に訴えるが、リグの頭は彼の腰辺りを上下するだけでそっぽを向きつづけるケインの視界にまったく入らない。
「駄目だ。一体幾つ今までに部屋を吹き飛ばしたと思っている。うちにこれ以上大広間はいらん」
 今日の突貫工事のおかげで確か三つ目になったはずだ。
「お前が実験に使う器具だってただではないんだぞ」
「うう〜…」
 痛いところを突かれリグは二の句が継げないでいる。
「何があったのかは知らんが実家に戻ればどうだ。城にあるお前の専用研究設備なら心行くまで実験に没頭できるだろう?」
 そうまで言った所でリグは泣きそうな顔になりながら小さい声で呟いた。
「だめ…なの」
 そう、確かに実家に戻れば趣味の実験は進むに違いない。ケインのための(と彼女が勝手に思っている)研究が飛躍的に。


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