〜甘い果実〜-28
深々と頭を下げてセバスは歩き出す。扉に手を掛けた所で、何か言い忘れていたのか唐突に振り向いた。
「ああそうそう、坊ちゃま」
「うん?」
一瞬。
ケインはセバスの細い目が”にたり”と歪んだように見えた。
「未来の国王就任、おめでとうございます」
「…………………え?」
何を言われたのか。
理解できずに固まったままでいるケインにお構いなく、セバスは一礼して扉を閉めた。
「明日はお赤飯でお祝いですじゃ」
…翌日。
丼一杯山盛りによそわれた赤飯はケインにとって砂を噛むような味であったという。 END…?