〜甘い果実〜-10
「……お前の気持ちは分かった」
「判ってないよっ!」
「いや…」
素早くしゃがむとそのまま自身の唇で何か言いかけたリグの口をそっと塞ぐ。一瞬はっと目を見開いたリグだが、すぐに目を閉じ身を預けてくる。
ややたってから、ケインは身体を離した。
「ケイン…ちゃん?」
「あとは…お預けだ」
そう言って立ち上がろうとしたケインのズボンをリグは素早く摘む。まだ不服そうだ。
「…どうした?」
「まだ、…ケインちゃんの気持ち、聞いてない」
「それは…」
しっかりと握り締めて、ちゃんと返答するまでは放してくれそうに無い。
覚悟を決めると、ケインは再び腰を落とし、しっかり正面から見つめる。
大きく息を吸い込むと、リグに抱いている自分の気持ちを正直に伝えた。
ほんのりと、リグの顔に恥じらいが浮かぶ。
その美しさが、ケインの胸を射る。
「じゃあ…」
「駄目だ」
微かに震えるリグの手から次の言葉を察し、ケインは先手を打った。