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痛みキャンディ
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痛みキャンディ4-2

ポケットからキャンディを取り出して口に放り込んだ。 
懐かしいハッカの味がした。 
これは幼い時にばぁちゃんにもらったあの飴の味に似ている。 
年寄りくさくてイヤだと言いながらも、ばぁちゃんに飴をもらうのがうれしくて仕方なかった。 
どんなものでも包んでしまうようなばぁちゃんの優しさ。 
何処か目の前のおばあさんと重なって感じた。 

その甘さの中に少しだけ苦さを感じた。 
きっとばぁちゃんが今まで苦労してきた人生の苦さなんだろうなぁと空想してみる。 

人は終わりからは逃れられない。 
何人たりとも。 
終焉を迎えていながらも寄り添いながら助けあうこの二人の哀しさと強さが胸にキュンときたんだろう。 

ようやく名前が呼ばれた。 
病院の中にもドラマはあるな、なんて思いながらひょっと軽い足取りでクゥの待つアパートへと向かっていく。 

いつまでもお元気で。 

届かないくらい小さな声で老夫婦に別れを告げて。 
まだ終わらない人生を愛していけるような気がした。 
ポケットを探ってあめ玉が入った袋を見た。 

あと二個かぁ。 

あと二個舐めたら何か変わるのだろうか。 

そんなことを考えながら後ろを振り替える。 

心なしか病院が輝いて見えた。


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