俺と俺様な彼女 〜5〜-3
「ただいま〜。」
「あ、父ちゃん。」
!?!?来た。ついに彼氏として避けては通れない道が。覚悟はしてたけど緊張してきた。とりあえず最初はさりげなく友達を装って・・・
「今日は早いね、父ちゃん。」
「ああ、たまたまね。それに今日は保奈美の誕生日だし。ん?誰か来てるのかね?」
「ああ、姉ちゃんが彼氏連れてきたんだよ。」
「な、なに!?」どだだだ…
余計なこといってんじゃねーー、貴人――!!
「君かね、保奈美の彼氏は?」
「あっ、いえ、あの、その」
がしっ! 「へ?」
「ひとつ聞いて言いかね?」
「は、はい!!」なんだなんだ!?目が怖いよ、お父様!?
「娘は君の前ではどんな風なんだね?」
「へ?」
「少しは甘えたりするのかい?」
「あっ、いえ、むしろ、その理不尽というかなんというか。」
「そうか、やっぱりそのままか。」
「あの?」
「いや、ひょっとしたら彼氏の前だと少しは変わるかと思ってたんだが、そんなにあまくはなかったか。」
「あの、ひょっとして?」
「ああ、挨拶が遅れたね。保奈美の父の俊之だ。そしてこの家で保奈美の被害を一番受けているのは私だよ。」
仲間見つけたーー!!どうりで親近感わくわけだよ。
「あの、ご苦労お察しします。」
「君も大変だね。同情するよ。とりあえず座りなさい。」
「あっ、はい。」
「その、娘の様子を教えてくれないかな?君の前での。」
「一言で言うと鬼ですね。容赦ないです。」
「そうか、保奈美も昔はかわいかったんだよ。将来はお父さんと結婚するなんて言ってくれたりしてね。でも小学校高学年ぐらいから徐々に毒を言うようになってきて・・・」
「あの、例えば?」
「そうだな、4月1日に『パパ、だーい好き!』と言われたり、バレンタインデーに年の数だけ麦チョコを渡されたり…」
先輩容赦ねーーー!!悪魔だよ。俺以上だよ、それは。悲惨すぎるよ。
「はぁ。」
「大変ですね。ふう。」
「なにむさい男二人でため息ついてるのよ、辛気臭い。哀愁漂いすぎて目に見えるわよ。」
「ぐはぁっ。」×2
「ご飯できたからさっさと来て。」
「あ、あんな娘だけどよろしく頼むよ。」
「い、いえ、こちらこそ。」
仲間発見できたのはうれしいけど、せつねぇ。