円満堂・逆ハーレム【2】-1
「へぇ…あの弍兄がねぇ…。」
只今の時刻…午前1時17分。
一番下の参仁(さんじ)が帰ってくるまで起きてようと、アタシは寒い中玄関の真ん前で仁王立ち。
「へぇ、じゃないよっ。どうすりゃいいのよ〜…。」
なっちゃんにキスされただなんて…
壱成には相談できず。
なっちゃんは降りてくる事すらせず。
でも抱え込むことも出来ず…。
「参仁がもっと早く帰ってくれば良かったのよっ!」
金髪ピアスの暴走族の頭の胸ぐらを掴み、高速スピードでぐらぐらぐらぐら……
「うっ…わ"かっ…やめっ…」
さすがのヘッドも、酔いには勝てないようね!ふっ。
「大体、中学生のガキが3日間も何処ほっつき歩いてたの?!」
「学校で補習受けてました。」
嘘つけぃっ!!
無言の圧力を察したのか、参仁はしどろもどろ話を反らす。
「でっ、でも凜姉…弍兄って、確か八蔵って言う彼女が…」
………やぐら?
「八蔵 祭って、結構長い付き合いの子が居たと思うけどなあ?」
やぐらまつり……下町か!!
「どーゆー事よ、参仁。」
「俺だって詳しくは…」
ズイッと身を乗り出して、吐かせてやろうとしたその瞬間………――
ブォンブォン……
「あっ、健が来た!」
爆音ともいえるバイクの音に反応して、シャカシャカとゴキブリのごとく窓の方に寄る参仁。
真夜中の閑静な住宅街に響き渡る合図。
どっ、どうか…この暴走族達が迎えに来たのがウチの参仁ちゃまだって、ご近所様にバレませんように…――!!
「参仁さぁん!」
決定的証拠を叫んだ奴は誰だ!!!
うぅ…明日のゴミ出しが怖い……(泣)
きっと遠巻きに噂とかされちゃうんだろうなあ。
ホラ、あそこのウチが…みたいに、奥様方が電柱の陰からみてるんだわ。
「おう!今行く!」
ベッドの横に立掛けてある鉄パイプ(?)を持って、参仁はスカジャンを羽織る。
「ちょっ、えっ!何アンタ!話まだ終わっ「弍兄はいい人だよ。マジ兄弟じゃないんだし、結婚しろよっ!補習行ってきまぁす!」
そう言って、参仁は窓からヒラリと飛び下りた。
……飛び……?
「ちょっ、参仁?!」
ここ2階…
急いで窓に駆け寄ると………