円満堂・逆ハーレム【2】-4
ぎゅっ……
「えっ!」
「ごめん…!」
外気から遮断された空間に、甘い香りが漂う。
それを胸一杯に吸い込んで、アタシはなっちゃんを抱き締め返した。
返事の代わりに。
ダウンの柔らかさと、なっちゃんの温かさが、アタシの眠気を誘う。
「帰ろっか…」
そう言ったなっちゃんの声は寒さと涙でかじかんでて、
思わず愛しいと思ってしまった墓場での抱擁。
「うん!」
……その後寝てしまったアタシをおんぶして帰ったなっちゃんの話は、また今度で!
●つづく●