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円満堂・逆ハーレム
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円満堂・逆ハーレム【2】-3

●●●

「やっ、やっぱ帰るっ!」

只今の時刻…午前1時57分。あと3分で…

オバケのでる時間………


「無理だから。」

冷たくそっけない、なっちゃんの声。

無理だからって…無理ってだって…

「お墓じゃんよぉ!!」

そう、ここは……

お父さんと不二子の…

あ…



「毎週、来てる。」

隣で、なっちゃんは鼻をすする。
ぎゅっと握られた右手。

思わず、見上げてしまう。

「なっちゃん…?」

「俺…」

そ…っと、なっちゃんは墓を撫でる。


「嫌だったんだ。不二子が再婚するの。」


え……?


「父さんが死んで、不二子は必死で働いてた。綺麗だったのに…くすんじゃってさ。」

へへっ、と笑って、なっちゃんはアタシを見た。

その哀しげな顔に、思わずドキっとする。


「そんな不二子だから、賛成したかったけど…やっぱ父さんを裏切ってる気がして…」

4人が初めてウチに来たときのことを思い出す。


壱成と、なっちゃんと、参仁と……。

初対面で、なっちゃんにだけ目を反らされた事を。
それと……――

なっちゃんには、未だに名前を呼ばれたことがない事を。


そんな事を考えていると、なっちゃんはニヤッと笑って、意地悪そうに言った。

「今日…アンタと墓来ようと思って、早く帰ってきたんだけど…兄貴とイチャついてたからさ。」

「イチャついてなんかないっ!」

墓場に響き渡るアタシの声。
なっちゃんは、ビックリしたようにアタシを見つめる。

そして、笑う。

「…そっか。ははっ…」


今アタシの顔は真っ赤だろう。
あんなに精一杯否定しなくても良かったのかもしれない…。

怖いけど…暗くて良かった。


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