円満堂・逆ハーレム【1】-1
お后様が失踪して12年。
今まで必死に育ててくれた王様が死んで3年。
再婚した次のお后様が死んだのが去年。
なんとまぁ不幸続きな家には、新女王様(仮)と3人の下僕サン達が居ましたと。
【円満堂・逆ハーレム】
アタシ、円満堂 凜。
髪は痛むのが嫌だから染めない17歳。花の高校2年生。
そして……
「りぃん…俺眠たくなっちゃったぁ…。」
隣に居るは、後妻の不二子が連れてきた…円満堂 壱成(20)。
旧性、峰。……。
一見ただのチャラ男のくせに、頭も顔も何でもバッチグゥな憎い奴。
「少し寝れば?昨日も論文で遅かったんでしょ?」
サスペンスが終わり、奥さま達の通信販売のチャンネルを変えながらそう声をかけると、
「う〜ん…凜…。」
ダラァンと肩にもたれてきた。
この前彼女と別れてからずっとこうだ。
「壱成…?んっ…」
綺麗な手が、デニムのスカートの上から太股を撫でる。
「凜も…寝よ?」
縁無しのメガネから覘くカラコンを入れた茶色の目。
それが、からかうように細くなる。
ダメだ…流されちゃ。
「寝な…いよっ。」
立ち上がって、台所へ逃げる。
冷蔵庫から牛乳を取り出して、お盆に伏せてあるコップを取る。
ぎゅっ…
「凜…牛乳嫌いでしょ…。」
やんわりと後ろから抱かれ、牛乳を取られる。
「ダメだっ「ただいま…。」
ガチャ、とリビングの扉が開く音がする。
途端に、視界に入る学生服の男。
「出かけたのか…」
リビングを見渡した後に彼は呟く。
そして、後ろを向いた。
「あっ…お、おかえり…」
目が合う。
急いでウエストに絡まる壱兄の腕を無理矢理ほどきながら、アタシはリビングに出る。