円満堂・逆ハーレム【1】-2
「……何で兄貴居んの?」
鞄から出したボトルに口をつけながら、不機嫌そうになっちゃん(那弍(なつぐ)は言った。
「居ちゃ悪りぃのかよ?」
突き刺さるような壱成の視線。
「別に。」
プイと目を反らすなっちゃん。
険悪なムード…。
壱成がなっちゃんにつっかかるのは毎度のことだけど…いつもなら軽く流してるのに。
今日は、何かあったのかな…
「ねぇなっちゃん、何かあっ「飯まだ?」
まだ3時だぞ。
って、あれ?アタシは今日校長誕生日で学校休みだし。壱成はサボり。
でも、なっちゃん部活は…
「なっちゃん、今日は部「寝っから。」
最後まで聞けよ!!!
そう言って、なっちゃんは肩に鞄をかけて出ていった。
「邪魔すんなよなっ。凜、続きしよっか。」
「ちょい待ちっ!!」
胸に伸びてきた手を払い、アタシはなっちゃんの後を追う。
階段を一気に駆け上がり廊下に出ると、丁度部屋に入るところだったのか此方を見てる。
「なっちゃっ…何か今日…」
「何もねえよ。」
20cm以上ある身長差に見下ろされ、アタシは少し小さくなる。
これが同じ歳かと思うと…。
「あっ、さっきのはっ…別に何でもないって言うかっ…」
自分でも良く分からないけど、一応弁解。
必死さをアピール。
……空気が静まったから、話題変え…悲しい。
「夕飯、何食べた「寝るから。行って。」
撃沈。
「なっちゃん冷た「行け。」
「はい。」
すごすごと階段に向かおうと振り返った時だった。
「…………おいっ」
急に腕を引かれ、振り向いた。
「っ………?」
掴まれた腕に感じる、握られる痛み。
微かに分かる、甘い甘い…かいだ事ない良い香り。
唇に感じる、柔い感触。
「んっ…んん……」
それは、荒っぽいキス。
壱成とは違う…優しくない。
「はっ…なっ…ちゃ……?」
スルリと、手が放される。
肩をトンと押される。