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真っ白な世界
【悲恋 恋愛小説】

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真っ白な世界-2

『ねぇ…』

オレの恋人と二人でいった海。彼女がオレに話しけている。オレの思い出。初めて行った二人の場所。
1番大切な思い出はこれだった。
――『幸せ?』
愛しい彼女の顔
――『当たり前。』
オレはそう答えたっけ
――『私の事好き?』
愛しいお前。
――『当たり前。』

『ずっと一緒に――』
その時光がオレを包んだ。
『待て!もう少し見せてくれ!!』

ぼやける視界の中、彼女の声が聞こえる。

――ずっと一緒にいてくれる?―――

思い出の中のオレが答えている声が聞こえる。

――当たり前。

――ずっとオレらは一緒だよ。また二人でここに来よう。そして思い出をたくさんつくろう。――

『待ってくれ!!――』

すでに光はオレを包み、真っ白な世界が広がっていた。その時あの声がした。

『どうでしたか?今からあなたは現実に戻ります。……ここでお別れです。』


オレは無言で頷いた。足元には涙が落ちていた。真っ白な世界にしみができたかのように。……オレは泣いていた。

『さ――よ――な―ら―………』


声が遠くなっていく。最後の光。現実へと戻る光。光に導かれている時、オレは独り言を呟いた。


『オレは死ぬけど、お前は幸せになれ。……オレなんかより…ずっと幸せになれ。』


――その時世界が弾けた。聞き覚えのある音。見覚えがある世界。懐かしい世界。
――前からトラックが迫ってくる。不思議と怖くない。子供は助かったようだ。
……あと少しというところで、あいつの顔が浮かんだ。愛おしい顔。そしてオレは最後にこう言った。


『さようなら。』


……トラックがオレをはねとばす。その瞬間、オレは死んだ。


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