俺らの明日-1
〜昼休み編〜
「さ〜てと、待ちに待った昼飯だぁ〜。」
「お前何しに学校来てんだよ。」
「まま、いいじゃんいいじゃん。」
「俺さ〜、昨日スピード見たんだよ。」
「スピードって映画のか?」
「そう。」
「また古いのを見たんだな。」
「スピードって確か船をハイジャックするやつだったっけ?」
「それは2のほうだろ。1はバスのほうだよ。」
「あと船の場合はハイジャックじゃなくてシージャックな。」
「そうなの?」
「ああ。ちなみに車の場合はカージャックな。」
「へぇ。じゃあ自転車の場合は?」
「・・・チャリジャック?」
「いや、違うだろ。」
「ていうかただの盗難だろ。ジャックとかかっこいい名前つけんじゃねーよ。」
「大体チャリジャックってどんな状況なんだよ。」
「後ろに乗って『金出せや』みたいな?」
「だったらわざわざ後ろに乗らんでも前に飛び出てナイフかなんかで脅せばいいだろ。」
「いや、それじゃあ危ないじゃん。轢かれるって。」
「走ってるチャリの後ろに飛び乗るほうがよっぽど危険だよ。」
「それに難易度も高いよ。よっぽど運動神経がよくないと。」
「普通に泥棒したほうが効率いいよな。」
「で、何の話だっけ?」
「俺が昨日スピードを見たって話だよ。」
「ああ、そうだったそうだった。」
「で、どうしたんだよ。」
「あの女優誰だっけ?男優はキアヌ・リーブスってわかってんだけど。」
「え〜と、誰だったけな。」
「サンドラ・ブロックだろ?」
「そう、それ。」
「監督って誰だっけ?」
「ヤン・デ・ボンだったと思う。」
「中国人か?」
「中国人にボンはねーだろ、たぶん。」
「でもヤンって西洋人ぽくないよ。」
「お前それはヤン・デ・ボンに失礼だよ。」
「他にどんなん作ってる?」
「ツイスターとか。あの竜巻のやつ。」
「ツイスターが竜巻って意味なんだからそれぐらい分かるよ。」
「じゃあ言わすなよ。」
「お前が勝手に言ったんだよ。」
「じゃあ、サンドラ・ブロックって他にどんなのに出てる?」
「え〜とな、あのFBI捜査官が潜入捜査でミスコンにでるやつ。」
「名前を聞いてんだよ。」
「確か・・・ビューティコロシアムだったような。」
「違くね?」
「デンジャラス・ビューティだよ。お前、ビューティコロシアムつったらあれじゃん、あの整形の。」
「ああ、そっか。」
「でも最近の外科技術ってすごいよな。」
「ああ、あれは確かにすごい。あそこまでいくともはや魔法だな。」
「詩人だね〜。」
「お前も整形したら?」
「遠まわしにブサイクだって言いたいのか?」
「違うって。そうだな、耳整形しろよ。」
「耳!?」
「ああ、確かにそうだな。」
「え、なに?俺の耳って変?」
「なんつーか、違和感があんだよ。」
「そうそう。なんだろな?」
「わかった。福耳がねーんだ。」
「ああ、そっか。」
「つーわけでプチ整形だ。シリコン耳たぶに入れてもらえ。」
「やだよ。なにお前らが勝手に決めてんだよ。」
「俺らはお前のためを思ってだな。」
「余計なお世話だよ。それになんでそんなににやけ面なんだよ。殴るぞ。」
「落ち着けって。」
「ほれ、さっさと食え。チャイム鳴るぞ。」
「そうだな。」
「・・・耳。」
「もうええっちゅーに。」