虹色の果実-1
どこにあるかは分からない
本当にあるかも分からない
虹の根元にあるとか
世界の果てにあるとか
いろんな噂を聞くけれど
本当のところは誰も知らない
そう、それが虹色の果実
おいしいかは分からない
食べられるかさえ分からない
ほっぺが落ちるほどうまいとか
眺めるだけの観賞用だとか
いろんな意見を聞くけれど
本当の味は誰も知らない
そう、それが虹色の果実
赤は全身にみなぎる血潮
橙は郷愁を誘う黄昏の空
黄は野に咲いたタンポポ
緑は春の到来を喜ぶ若葉
青は我等を優しく包む海
紺は眠りを告げる夜の帳
紫は雨露に濡れる紫陽花
そう、それが七つの色を持つ虹色の果実
見つけたら願いが叶うわけではなく
手にしたら富が得られるわけでもない
それでも人は追い求める
ただ見てみたいから
ただ口にしてみたいから
それだけの理由のために
欲のない願望と
穢れなき純粋さ
その二つを心に秘めて
彼等は探し続ける
しかし彼等は気付かない
既に虹色の果実を手にしていることに
彼等は持っている
欲という穢れにまみれていない魂を
そう、それこそが光り輝く虹色の果実