美しい人-1
ねぇ、
私の好きな映画はね……
美女と野獣
コッポラのドラキュラ
シザーハンズ
私は愕然とした。
ある日、これらの映画の共通点に気付いてしまったのだ。
哀しい共通点に。
それは全て人でないモノの恋愛を描いた話。
人でないモノが真実の愛を見付ける話。
そのままでいいんだ
そのままの君が好きだ
そう……
私は誰かにそう言って欲しかったんだ。
私は……… だから。
俺は、その告白を聞いて、君の震える肩をそっと抱き寄せた。
きっと誰にもそんなことを話したことは無かったんだろう。
俺は君が好きだよ。
そのままの君が、
ずっと、ずっと昔から。
俺が君に初めて出会ったのは、6年前。
俺達は高校生だった。
郊外にある公立の高校で、偏差値も高くも低くもなく。
女子の制服が可愛いわけでもなく、本当に普通の学校だった。
君は先天性の股関節の障害を持っていた。
舞踏の様に歩く事を除けば、君はごく普通の高校生だった。
座っている時の君は、さらに、ごく普通の少女だった。
歩く事を除く君の所作は実に美しかった。
白く細い指で本のページをめくる時、僅かに頭を揺らして後ろを振り返る時、俺は見とれずにはいられなかった。