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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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伊藤美弥の悩み 〜受難〜-14

ドキッ……

心臓が、高く鳴った。
「私……龍之介が……好き……」
矢も楯もたまらなくなり、龍之介は顔を傾けて美弥と唇を合わせる。
「!……」
びくっ!と身を震わせた美弥だったが、おずおずと両の掌を伸ばして龍之介の頬を包んだ。
龍之介の欲望が高まる。
腕の中にいる愛しい存在の、全てを見たい。
その思いが、キスを激しくした。
「……ん、ふ……んむ……ん……」
唇を擦り合わせられ、唇で軽く挟まれ、美弥は頭がくらくらしてくる。
龍之介の両頬に添えていた掌はいつの間にか首へ回され、体を預ける格好になっていた。
痛い程に自身が力を漲らせているのを感じながら、龍之介は強引に体を離す。
「か……体っ、怪我してないか、診て貰わないと」
それだけ声を搾り出し、龍之介は後ろを向いた。
美弥が寂しそうな傷付いたような顔をした事は、敢えて無視する。
そんな顔を見てもなお理性を保つ自信は、全くなかった。
「ふ……服、着て?」
全裸に近い格好だった事を今さらながらに思い出し、美弥は慌てて制服を着込む。
「保健室……連れてくよ」


保健室には開いていたが、誰もいなかった。
「こんな時に……」
美弥をソファに座らせ、龍之介はしゃがみ込んで足に触れる。
「痛くない?」
視線は落としてそう聞きながら、龍之介は美弥の足を撫でたり軽く捻ったりした。
「う、うん……」
「じゃあ、骨折や捻挫の心配はないな。次は……」
体の一部分は不謹慎だが、龍之介は真面目に触診しているのである。
だが、龍之介の手が肌をかすめる度に美弥は体をぴくぴくと痙攣させていた。
キスで興奮した体に、龍之介の触診は刺激が強過ぎる。

はぁっ……

美弥は堪らずに、ため息を漏らした。
「ッ……!!」
美弥の肌が白から桜色に染まって来たのに気付かないふりをしていた龍之介だが、こんな悩ましいため息を聞かされては我慢も理性も用を為さない。
「……ご……ごめん……消毒、自分でして?僕、ト……」
「怪我なんか、してない」
たまり兼ねて、美弥は言った。
「どうして……私を見ないの?」
「……」
「ずっと目を逸らしてる。告白した事、後悔してるの?」
龍之介は、ため息をつく。
これ以上美弥を見ないでいると、それは美弥を傷付けるだけだ。
「見てるよ。見てるから、逸らしてる」
「何よそれ……!」
理不尽な言い訳に、美弥は混乱する。
「美弥の事を、大事にしたいんだ。でも今見たら………………欲しくて堪らないから、絶対に襲い掛かる」
「!」
理由を理解した美弥が息を飲むのが分かって、龍之介は頭を抱えたくなった。
そんな関係になった途端に『抱きたい』と言われたのだから、驚くのも無理はない。
受け入れてくれたとはいえさっきはいきなりキスをしてしまったし、性欲だけの獣のように思われて、始まったばかりの恋愛がもう破局を迎えるかも知れない。
だが、美弥は。
「…………いいよ」
隠し切れない羞恥を含んだ声で、そう答えていた。
「龍之介が望むなら、私……いいよ」
ぐずぐずに崩れていた理性の箍が、決壊する。
龍之介は美弥をソファへ押し倒し、唇を重ねた。
「舌、入れるよ」
律義に宣言すると、龍之介は確かめるように美弥の唇を舌でなぞる。
そこからぴりぴりした刺激が生まれ、背筋を伝い、下腹部に熱を生んだ。
「うん……でもその、ここじゃない方が……」
ためらいがちに切り出され、龍之介は最もな意見に頷いてしまう。
いつ誰が来るか分からない保健室のソファで仲良くしている現場を見られるというのは、あまりよろしくない話だ。
「……ちょっと待ってて」
龍之介は保健室のドアの外に『不在』と書かれたプレートをぶら下げ、内側から鍵をかける。
なおかつ、窓はカーテンを閉めた。
戻って来る前に、包帯や薬が詰め込まれた戸棚から性教育用コンドームのストックとティッシュをさりげなく掠めて来るのも忘れない。
戻って来た龍之介は、美弥を抱き上げてベッドに運んだ。
ベッドに美弥を寝かせ、本格的に唇を貪り始める。
「んっ……んふむ……」
唇を擦るだけだった時など及びもつかない、遥かに強烈な刺激……龍之介の舌が、そっと侵入して来た。
美弥は思わず体をのけ反らせ、舌から逃れようとする。
龍之介は片手で美弥の肩を抱き寄せ、もう一方の手で後頭部を押さえた。
「逃げちゃ駄目」
そう言ってたしなめ、もう一度深く口付ける。
「っ……」


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