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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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伊藤美弥の悩み 〜受難〜-12

『ね、龍之介君……ここにあなたのそれを入れると、物凄く気持ちいいのよ……?』
爛熟した秘裂を見せ付けながら、あの人は言った。
生唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえる。
ぐちゅぐちゅで、ひくひくしていて、妖しく蠢く淫花が龍之介を誘惑していた。
あそこに、今から自分の肉棒が入る……。
「恵美、さ……」
恵美は妖しく微笑み、龍之介の上に跨がった。

ずぷうっ……

「かはっ……!」
熱いぬめりが肉棒を包み込み、締め上げる。
龍之介は息を吐き、手淫など比べ物にならない程の快楽に耐えた。
「龍之介君の童貞……貰っちゃったね」
妖しい微笑みを崩さぬまま、恵美は腰を上下に振り始める。
「くっ……ふ、うあっ……め、恵美さんっ……止めてっ……!」
龍之介は、懇願した。
何故兄の元婚約者と、一方的に交わらねばならないのか。
スカーフで両の手首を頭上に拘束された龍之介は、初恋の女性から犯されているという異常な状況に涙を流す。
「うふふ……」
恵美は上下運動を回転運動に変え、龍之介に体を密着させた。
「ほら、おっぱいの感触……分かるでしょ?」
龍之介の小さな乳首を、恵美は自らのそれでつついてやる。
「止めてよっ……止めてっ!」
身悶えする龍之介の唇を、恵美は奪った。
舌を這い込ませ、ねっとりと蹂躙する。
「んぐ、うう……っ!!」
何の前触れもなく、龍之介が爆ぜた。
胎内に放出された若いエキスを、恵美の子宮は嬉々として吸い上げる。
「ふふふ……イッちゃったのね?龍之介君……」
敗北宣言をされたような気がして、龍之介は本格的に泣き出した。
「駄目よ、まだ私がイッてないし……あなたの体に、私の心地良さを刻み込んであげないと……」
恵美は微笑み、腰を再び上下させ始める。
「そうすれば、龍之介君……私がお兄さんに会えるよう、口をきいてくれるでしょ?」


「ッッッ!!!」
龍之介は、がばりと跳ね起きる。
「……夢……か」
心底安堵した龍之介は喉の渇きを覚え、自室から階下の台所へ移動した。
水道から汲みたての生ぬるい水を、喉へ無理矢理流し込む。
「夢精……してない、よな」
かぴかぴした感触はないがいちおうパンツの中を確かめて、龍之介は安堵した。
反応も、夢精もしていない。
「龍之介」
背後から声をかけられて、龍之介はギクリとしながら振り向いた。
兄の高崎竜彦(たかさき たつひこ)が、心配そうに龍之介を見ている。
「兄さん……」
「……うなされてた」
歩み寄って来た竜彦は冷蔵庫から缶ビールを二つ取り出し、一つを龍之介へ放って寄越した。
「……恵美の事だろ」
プシュッという小気味いい音を立てて缶を開け、竜彦はビールを煽る。
龍之介も、それに倣った。
「違うよ……」
「じゃあ何で、『恵美さん、止めて』なんて寝言が飛び出るんだ?」
「それは……」
返答に詰まる龍之介に、竜彦は畳み掛ける。
「教えてくれ。これはあいつとお前の問題じゃなく、あいつと俺の問題なんだ」
兄が一度言い出したら聞かない性分である事は、龍之介は身に染みて分かっていた。
缶ビールを煽り、上唇に出来た泡を拭ってから、龍之介は告げる。
「今日……恵美が学校に来た」
さん付けしない辺りに、龍之介の恵美に対する感情が現れていた。
「あいつが!?何をしに!?」
龍之介はもう一度、ビールを煽る。
「いつもと同じだよ。兄さんに会いたいから、口をきいてくれって」
竜彦は、空にした缶を思わず握り潰した。
「あいつッ……何様だと思ってやがる!?婚約破棄の原因も絶縁の理由も、全て自分の責任じゃねえか!!」
竜彦は、思わず吠える。
結婚式直前で浮気され、結婚を取りやめた竜彦だが、恵美と絶縁するまでには至っていなかった。
それが絶縁したのは、恵美がまだ中学生だった龍之介を利用するためだけに犯すという暴挙に出たからである。
恋する男と兄としての直感で、当時の竜彦は龍之介が恵美へ義姉に対する親しみ以上の想いを向けている事は、感づいていた。
だが、龍之介がそれを露にしたり一線を踏み越えたりしない理性を持ち合わせている事もまた、竜彦は知っていた。
だから触れないでおいたのに……婚約破棄された恵美は龍之介の想いを知り、自分の手段とするためだけに龍之介を犯したのだ。
これが怒らずにいられようか。
「龍之介。俺はやっぱり恵美と……」
「駄目だ!!」
激しい語調に、竜彦は怯む。
「あいつは兄さんに会うためだけに体を使って僕を篭絡しようとした……屈服なんか、したくない」


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