Bitter about youC-2
『晃司へ
あなたがこれを目にする頃、私がもう此処に居ないことを祈りながら――
仁未、という名を覚えていますか?
5年前あなたが殺した私の双子の妹の名です。
それからはあなたを殺す事だけが私の生き甲斐となりました。
全てを犠牲にあなただけを追い続けて、やっと会えた時に溢れた涙は実に5年ぶりでした。
あなたの犯した罪は決して拭えません。
私の犯した罪も同様に。
だから私はあなたと私に罰を与えようと思います。
あなたには
私を失うという罰を。
わたしには
あなたを失うという罰を。
――最後ですが…
今でも私は
あなたを愛しています。
繭未 』
安らかな繭未の顔。
赤いワンピース。
握ったままのメッシュナイフは
まだほんのりと暖かかった。
――しと、しと…
…時計の針が12を越え
暦をひとつ刻んだこの日はクリスマスイブ。
雪の降りしきる音が窓を撫でる。
窓越しに見上げた夜空はあまりにも白かった。
…月も、見えないほどに。
‥ E N D ‥