※war※-1
『――バァンッ』
ただ今、戦地の真っ只中。
国と国のお偉いさん達が争って起きた戦争……。そんなもん今はどーでもいいけど……。わかってることは……。
『殺らなきゃ、殺られる…』
僕は独り言を誰にもいない空間に吐き出していた。さっきまでいた、の方が正しいかもしれない。自分以外の仲間は皆死に絶えた。一人で応戦している状態だ。
『―ダダダダッ!』
響く機関銃の音。
荒れ果てた廃屋の屋上から僕は森の中にいる敵兵めがけて手榴弾を投げる。
『――ドォンッ!!』
何人か殺ったかな……。
さあ、どーしよう?もうそろそろ突撃してきてもおかしくない。いよいよ僕も……。
その先は考えたくない。
一度それを考えてしまうと。
カラダ全体に恐怖が湧き出てくる。
『――ドンッ』
一階で扉が蹴り破られる音がした。敵が来る。
思えば戦地に向かうと決まった時から…僕は恐かったのかもしれない。…人を殺してく度に、殺す快感を覚える度に、その恐怖から逃げてたんだ。
僕は自分のカラダを見てみた。
靴は破けている部分が多くて泥だらけ。
肩には弾を入れた銃を担ぎ。
体中の至る所に血がこべりついていた。
『そうか……こんなに殺してきたのか……』
再確認することでまた恐怖から逃げた。そうすると不思議に落ち着ける。最後まで戦争に酔って死ねたら怖くないだろう。たとえ人間の感情を無くしてしまっても。
『―ガシャッ』
僕は銃を構える
『……フー……』
僕は溜め息を吐いてみた。溜め息なんかしても気休めにもなんにもならない。
――さあ来い。僕が最後の生き残りだ。
『ドンッ!!』
扉が破られる。僕は狂ったように乱射していた。
一人、また一人と。
『ダァンッ!』
弾が腕にかすった。あぁ血だ。……自分の血など見ても何も思わない。やはり、敵の血をもっと見なければ。
『――ガッ!』
!?……あー弾が切れたのか。
僕は壁に隠れた。迫ってくる敵の足音。あぁ来んなよお前ら。ダメだ僕はやはり……。
体中から恐怖が沸いてくる。手、足、頭から…恐怖に侵されてく。