無銭湯記スパゲッチュー 〜復路〜-7
第27話 『壊された平凡』
旅行けば、何かと物入りだったりもする。俺は訪れた街で旅費を稼ぐ為にアルバイトをすることにした。
聞けば最近、町の中に魔物がでるようになったらしい、俺達は警備隊の夜回りを手伝う事にした。
ところが。
「誰だよこんなバイト引き受けたのは!」
不機嫌そうに俺はフィリスに言った。するとフィリスは、私じゃないと言う顔をして、俺の背中で気持ちよさそうに寝ている、レイモンドを睨みつけもする。
こいつか、またこいつが余計な真似をしやがったのか。
そう思っていた時。
「魔物が出たぞー!!」
警備隊の一人が叫んだ。
すると。
「わたくしにまかせて!」
しゃしゃり出たフィリスが、魔法で魔物に攻撃をしかけやがった。
魔物は倒したが、いつもどうりフィリスも倒れた。
そんな彼女を見て。
「大丈夫かね、このお嬢さんは?」
警備隊の隊長も、彼女を気ずかってはくれるものの。
「ええ、いつもの事ですから」
俺は涼しい顔で、フィリスの両足を抱えて、彼女を引きずる。
そんな姿をみて他の警備隊員たちもはやし立てやがる。
「兄さんも大変だね、むちゃくちゃな上さんと子どもまで背負って、夜回りのバイトとは。ハハハハッ!」
冗談じゃない! 毎回毎回! こんな姿を他人にまで見られて。情けないにも程が有る!!
”なんとかしなきゃ!”
俺はフィリスを引きずりながら、真剣に考えるのだった。
つづく