無銭湯記スパゲッチュー 〜復路〜-6
第26話『捨てられない性分』
旅の途中、魔物を倒した俺たちだったが。案の定フィリスの奴がぶっ倒れちまった。
俺はフィリスをおんぶして、暮れかかった山道を下っていた。
そんな姿を横目で見ながら、レイモンドが嫌みを言う。
「そんなお荷物な人、放って置けば良いのにっ」
俺も最初はそう思った。しかし、今回はフィリスのお陰で魔物を倒せたのも事実だし、こう言う時は、素直に感謝した方が良いだろうと、こうして彼女を背負っても居る。
そんな訳で、俺は作り笑いを浮かべながら、レイモンドに言ってやった。
「山の中に置き去りにして、夜中にでも魔物に食われちまったらこいつの事だ、きっと化けて出てくるだようよっ。俺はそっちの方が怖いぜっ!」
「ちぇー。ユグンってば、美人に甘すぎぃ」
レイモンドは口を尖らせてそんな事を言う。
とは言っていても、レイモンドも口で言う程フィリスの事が嫌いな訳では無いようだ。
「一人で旅をしていた時はどうしてたんだろな。ぶっ倒れた時は放っときぱなしだったんだろうか? だれも助けてくれ無かったんだったら、なんか可哀想だよな」
いつからかフィリスも気がついていたが、黙ってユグンの独り言を聞いているしかなかった。
「しっかし、この人見かけによらず、重てーな!」
「なんですって!」”ボカッ!”
「ハァウ!!」”ドサ ”
ユグン達はここで野宿になった。
つづく