白に赤に私と君-2
『…お前の事が1番好きだった。大切だった』
まだ、私の両手に何もなかった頃。
『決めてたんだ』
今は両手にキラキラ。
『またここを通る時は、俺の気持ちが変わったらって』
ライトが眩しい。
曇った窓ガラスも気に入らない。
『…別れよう』
あの頃にはなかった両手の綺麗な色。
私はちゃんと持っているはずなのに。
あの頃は色気なかった爪。
でも、今失った物をあの頃の私はちゃんと持っていた。
雪に真っ赤な両手をかざし、涙を待った。