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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈波動篇〉-3

「陛下、ちがう。か。」

「なんや?」

「ナタルがずっと呟いてた言葉、なんか気になっちゃってさ。」

ナタルは一体何を伝えたかったのだろう。何が違うというのだ。彼は未だ意識が戻らず、常に治癒魔法をかけられている状態だった。

答を聞ける訳がない。

「悩んでてもナタルが起きんかぎり解決せんねや。おいとくしかないやろ。それより気になるんは…。」

カルサの状態と行方、そしてサルスの行動の意味。三人の頭の中に浮かんだのは同じことだった。胸に突き刺さった剣、普通ならば命はない。

しかしあの時確かに、あの侵入者と戦っていた女性は言った。

《その剣は封縛》

「封印されてもた、っちゅう訳か。ほなリュナは?」

聖の当然の質問に紅奈は言葉なく首を横にふる。紅奈が見た時にはもう、リュナの姿はなかった。しかし、貴未が王座の間を去る時には確かにリュナはカルサの傍らにいた。

「連れていかれた、その線が濃いよな?聖。」

「多分そうやろな。」

その言葉を最後に三人とも考え込み黙ってしまった。突然現れた侵入者にいとも簡単に二人の神を奪われてしまった。

とてつもない力を持つ侵入者は嵐と共にこの国を脅かし、無駄な殺戮はせずに目的を果たして消えた。カルサとリュナを奪うことで何の目的を果たすことになるのか分からない。

もっと分からないのは。

「御剣って仲間内の交流があったんだな。オレ、カルサからもリュナからも聞いた事なかったから正直驚いたわ。」

「なんや。やっぱり、あの侵入者らて御剣なん?」

貴未の何気ない言葉に紅奈はしっかりと捕まった。確かな答が欲しい、声にしないだけで気になってしまった事がある。

「可能性がないとは言えないだろ?」

再び三人共が沈黙を作り出してしまった。それぞれが頭の中で考えをめぐらす。

御剣とは何なのか。

特殊能力を使えたら全て御剣なのか?いや、そうではない。ならば一瞬にして次元を越える事ができる貴未も御剣という事になるが、実際はそうではない。

聖や紅奈にしても結界をはれる結界士だが御剣ではもちろんない。

「ごっつい力の持ち主なんやったら…それこそカルサを捕える位の力なんやったら有り得るやろ。」

「御剣同士でも仲間内やないって事なんやろか?」

「かもしれないね。前、聖達の結界を壊し魔物を送り込んできた女の子。あの子も御剣だったりしてな。」

「せやな。」

考えだしたら切りがないくらい謎はさらに深まっていくだけだった。どれから解きほぐせば一番知りたい答に辿り着くのだろう。


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