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婚約者 〜被虐〜
【調教 官能小説】

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婚約者 〜被虐〜-1

世の中では景気が回復して来ているというが、たいていの方々はそれを実感出来ないだろう。
ここにいる両親と娘一人の家族は父親が不渡りを出して会社を潰し、莫大な借金を背負わされ、後は遺書でも書いて自殺するしかないという程に追い詰められていた。
そこに現れたのが、一人の男。
男はとある高貴な方の使いと名乗り、父親が背負った借金を返済する手段があると持ち掛けて来た。
「その方は以前お見掛けした娘さんを大変お気に召しまして……借金などで苦しんでいる姿を見たくないと、日夜お心を痛めておいでです……」
要は借金を肩代わりするので、娘を肉奴隷に差し出せという誘いだったのである。
父も母も、形だけは突っぱねた。
だが暇乞いをした男を娘が『近くまで送って行く』と言い出した時にそれを引き止めなかった事が、何よりも雄弁に物語っている。
血を分けた娘が借金の犠牲となる事を、望んでいるのだと。


男は娘――中森響美(なかもり きょうみ)を、喫茶店へと連れて行った。
男はコーヒーを二つ注文すると、響美へ名刺を渡す。

『株式会社 野々宮興産
 社長秘書
 神取 総一郎』

「神取とだけお呼び下さい」
響美が名刺に目を通し終わったのを見計らって、男はそう言った。
「しかし……あなたのご両親は、金の亡者という表現が相応しい方々ですね」
男――神取総一郎(かんどり そういちろう)は届いたコーヒーにクリームを入れながら、そう言う。
見た目からすると二十四、五辺りの『いかにも仕事の出来る秘書』風だが、こんなとんでもない交渉を受け持つくらいだから野々宮家の暗部に関わる人物なのだろう。
「親とは普通、子を守るものでしょう。娘が身売りしようとしているのに、止めもしないで指を咥えて見ているとは……正気の沙汰とは思えない」
神取は響美の心を抉る台詞を、単々と喋った。
「だがそれは、主人のために喜ぶべき事なのでしょうね」
響美はただ、俯いているしかない。
神取の喋る事は、事実なのだから。
「条件は、先程提示した通りです。あなた方の背負う借金を野々宮家が肩代わりし、その代償としてあなたはご子息の玩具となる」
「息子さん……ですか?」
意外な言葉に、響美は驚く。
響美はてっきり、当主の慰み物にされるのだと思っていたからだ。
「そうです。不満ですか?」
神取の言葉に、響美は首を横に振る。
息子の方は見た事がないが、当主はでっぷり太って脂ぎった、見るだけで嫌悪感と吐き気を催す人物だった。
もしかしたら息子も同じタイプかも知れないが、当主の慰み物にされるよりはマシじゃないかと響美は思う。
「あなたの世話は、全て野々宮が責任をもって行います。衣食住はもちろんの事、排泄や避妊まで全てをね」
「……!」
「そうですね……一時間後、車を出します。あなたは今から当座の生活に必要な荷物を纏め、ご両親と別れの挨拶を済ませて下さい」


当座の生活に必要な物。
そう言われた響美は、愛用の下着や衣類をバッグに入れた。
だが……きっちり一時間後にスモークガラスの高級車で迎えにやって来た神取は、それらを全て捨ててしまう。
「あなたはこれから人間以下の家畜としてご子息を喜ばせるためだけに生きて行くのです。家畜に人間らしい服装をする権利があるとでも思っているのですか?」
そう言われた響美は改めて、自分が果てしなく惨めな地位に追い込まれた事を思い知らされた。
「逃げ出されると困りますからね。我慢して下さい」
車の助手席に座った響美へ目隠しをすると、神取は車を走らせ始める。
「響美さん。服を脱ぎなさい」
しばらく車を走らせてから、神取はそう言った。
「えっ……」
「屋敷に着いたらあなたはもはや『中森響美』ではなく、『肉奴隷 響美』なのです。己の肉体で主人の機嫌を取り結ぶ事のみに意義が見出だされる女が、服を身に着ける必要性は皆無です」
神取は、懐からナイフを取り出す。
「まあ……今の所は『中森響美』ですから、選ばせて差し上げましょう。あなたと現実との唯一の接点を自分で脱ぐか、私に切り裂かれるか。私はどちらでも構いませんよ?」
「!」
いやいやをするように、響美は首を振った。
「分かりました。切り裂かれる事をお望みのようだ」
神取は車を停め、響美の着ているシャツを鷲掴む。
「きゃあっ!!何、何をッ!?」


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