『影』-1
夕焼けの帰り道を僕は歩く。
『影』
僕の名前は斎藤シュウジ、高校2年生だ。
僕は帰り道の景色が好きだ。夕焼けで一面真っ赤ですごく綺麗で…
突然後ろから衝撃が僕の背中に伝わる。
「いてっ」「あっいたかった?ごめんな、つよしたつもりなかったんけど」
彼女の名前は一瀬チカ。僕とは高校1年の頃からとても仲がいい。
彼女は満面の笑みで顔の前で両手を合わせごめんなさいのポーズをしている。
「いいよ、びっくりしただけだから」
「じゃあなんでいたって言うたん?」
「普通びっくりして、あっびっくりした!!なんてとっさに言わないだろ?」
「そりゃそうか〜びっくりしたって長いしな」そういってはにかむ彼女。
この笑顔を見ると何故か落ち着く。
「それじゃ帰るか、送ろうかチカ?」
「ええよ、暗うなるし…」
「女を送るのが男の役目でしょ!」
「そか、じゃあ頼りないけどお願いします」「頼りないは余計だけど…じゃあ行こう」
2つの影が並んで歩く。
「なぁシュウジ?」
「なに?」
「うちな……もしうちがシュウジの事好きって言ったらどうする?」
遠くでカラスが鳴いている。
「えっ?どうするって?」
「どうするはどうするやっ!!」
顔が真っ赤だ。
「どうもしないよ、うん、どうもしない」
「…そうか」
2つの影が並んで歩く。
「シュウジ…」
「なに?」
「うち…シュウジ、好きや、」
「えっ?好きって?」
「好きは好きやっ!!」
僕も顔が赤い。
「…僕も好きだよ、」
「そう…」
影が2つ並んで歩く。
2人のキョリは少し縮まる。
「チカ…」
「なんや?」
「手、繋ごうか?」
「……うん」
2つの影は1つに重なる。
「明日も、一緒帰ろうな?」
「もちろん」
ゆっくりと日が沈む…