みえない答え-1
ここは、大草原のとあるキャンプ場。
20数名の少年たちが、整列している。
彼らは皆、10代半ばの幼い子供たち。
彼らが今手に持っているものはなんだろうか。
今日の食事??
いや、違う。
では遊び道具??
いや、それも違う。
彼らは手に手に、銃を持っている。
銃を持って、彼らを指揮する大人に向かって敬礼をする。
ここにいる子供たちは、戦争に駆り出される『兵隊』である。
戦場へ行き、人を殺すための存在である。
キラキラしたあどけない子どもの瞳はなく、殺人者の目がある。
ボロボロになった服を着て、身を守るものなどはひとつとしてない。
この兵隊の中に、ラリという少年がいる。
年は11歳。
くるくるの坊主頭に、小さな身長。
まだ入隊したばかりで、体のサイズに合わない銃が黒光りする。
入隊理由は…
家族を殺された恨みを晴らすため。
11歳の小さなその少年は、人を恨むことを学んだ。
11歳の小さなその少年は、大事な人が消えてなくなる悲しみを知っている。
彼の中には、人を殺める目標しか存在していなかった。
大人たちは、そんな彼を心から歓迎した。
大事な戦力だからと、決して追い返すことはしなかった。
明日はいよいよ入隊後初めての戦闘だった。
部隊は明け方を狙い隣接する敵区に侵入し、敵を捕獲あるいは殺害する。
それによって敵の戦力低下、自軍の陣地拡大をはかるという作戦だ。
夜、指揮官にあいさつをした子供たちはそれぞれのテントに入り、灯を消す。