みえない答え-4
敵陣近くにいるのに騒がれたら敵に気付かれるからと、容赦なく撃たれた。
それだけの理由で、ラリは殺された。
遺体は回収され、雑に埋められた。
ラリが望んでいたものは、全て同じ“人”によってうばわれた。
殺されたラリの瞳が、あどけない子供に戻っていたことを、誰も知らない。
──夜明け前。
ラリのいた部隊は敵陣へと攻め入った。奇襲作戦だった。
しかし、皆殺しにされた。
待ち伏せにあったのだ。
細かく地雷が埋め込まれ、兵士は子供も大人も、次々にチリとなった。
運良く踏まなかった者たちも、形成が崩れ、待ち構えていた敵に打ち殺された。
体中に何発もの弾丸を打ち込まれ、苦痛の中死んでいった。
それでも生きていたものは、弱っている状態で頭を打ち抜かれ、首を落とされ、死んでいった。
部隊は、全滅した。
辺りに静けさが戻り、遺体はのちに回収され、雑に埋められた。
殺された部隊の未来・思いも全て、同じ“人”によってうばわれた。
彼らの人生は、終結した。
この戦いに、意味はあったのか。
喜びはあったのか。
答えを知るものは誰もいない。
答えを知るものは、誰も…──。
【完】
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あとがき
正義とは何でしょう。
それは自分が信じるものです。
殺された人にも、殺した人にも、家族がいて、好きな人がいて、友がいて…。
どっちが間違っているなんて、答えが出る問題じゃないんです。
だから、戦争に意味はないんです。
そして、白黒つけることだけが答えじゃない。
あいまいな答えだって、立派な答えになるときもあるんです。それでいいんだと思います。
いいんです。