みえない答え-2
明日はいよいよ戦闘が始まる。
お母さん…。
母の名をつぶやきながら、ラリは眠りに入った──。
深夜。
──がばっ。
真っ暗なテントの中で、ラリは1人目を覚ました。
恐ろしい夢を見たのだ。
攻め入った敵地には罠がはられており、皆殺しにされてしまう夢を。
次々と殺されて行く仲間を目の当たりにして、ラリは目を覚ました。
「はぁ…はぁ…」
テント内で、汗をかき、息を荒げるラリ。
他に音は何もない。
あるのは暗闇と、静寂だけだ。
そしてなにより…
怖かった。
“死”という未知の世界を仮にも夢の中で体験したラリ。
家族が殺されたときの記憶もよみがえる。
男たちにレイプされたあと殺された、母親。
顔の形が分からなくなるくらいグシャグシャにされ死んでいった、父親。
泣き叫びながら母親に寄り添い撃ち殺された、妹。
ラリは、隠れていることしかできなかった。
痛みで顔をゆがめる家族を、物陰で見ていることしかできなかった。
こんな戦いがなければきっと…きっと今ごろは。