Tシャツ-1
11月29日・・・
それは…街がクリスマスカラーで染まる、この季節に
いつもなら、学校が終わればスグに街へ出て、X'masムードに浸る私が…・・唯一、クリスマスのことなんて忘れてしまう日。
そう・・・だってこの日は、彼の誕生日だから…・・
[Tシャツ]
「か〜んっ、ざきっ!!お誕生日おめでとう♪」
HR終了のチャイムと同時に教室を滑り出て、二つ隣りの教室へと向かった私は、今にも帰ろうとしていた神埼 周平を…文字通り[つかまえた]。
……まぁ、つまりは…神埼の後ろ姿を見つけて、飛び付いたわけなんだけど…
そして、青色の包みを差し出す。
「・・・どうも」
「開けてみてねっ」
このままだと、そのまま放って置かれかねないので、迷惑そうな神埼を無視して目の前にプレゼントを差し出す。
一瞬の間をおいて、神埼がうっとおしそうに開けた包みの中は・・・
「Tシャツ・・・?」
「そうっ!!いい感じだと思わない?神埼に似合うと思って」
「浅月…、お前…今何月か分かってるよな?」
神埼が訝しむのも、仕方がないと思う。
なぜなら今は、12月。
コートを着て、マフラーまでつける季節。
そんな時に、半袖のTシャツなんて…神埼はきっと、バカみたいだって思っただろうな。
「着てみせてね?」
無理だって分かってる・・・
馬鹿な事を言ってるなぁ、って…自分でも思う・・・
「無理言うなって。今は、冬だぞ?
それとも、あれか…。お前は、受験生であるこの俺に…風邪を引いて欲しいのか?」
「違うって!!季節外れなのは、送った私が一番よくわかってるから・・・。
だからさ、夏に・・・。次の夏に着てみせて?」
今じゃなくて良い。
神埼の着られる季節に・・・