アイドルマスター”千早編”1-1
765プロダクション所属アイドルの如月千早はたまの休日を公園で過ごしていた。
ベンチに座りMDでクラシックを聞きながらちょっとした恋愛小説を読みながらも時間が過
ぎれば1ページまた1ページとページをめくっていく
ちなみに恋愛小説は同じ事務所の天海春香から借りたものである。
そんな千早が小説を読み始めて1時間くらいしたころだろうか、公園にバスケットボールを
持った20才台ほどの青年が鼻歌を歌いながら訪れたのだ。
しかしそんな事も気づかず千早は読書へと勤しんでいた・・・が
バシーン!
「きゃっ!」
いきなりバスケットボールが千早の頭に見事に直撃してしまったのだ。
「いたたた・・・」
「わりいわりい、大丈夫か?」
「一体なんなんですか・・・?多分何かが頭に当たったと思うんですけど・・・」
千早は頭を撫でながら起き上がると自分の近くにバスケットボールがあることを確認すると
青年をキッと睨みつける。
「これが当たったんですね・・・公園でバスケットをするのはいけないんじゃないですか?
他に小さな子供だっているんですよ?」
今だズキズキする頭を自分で撫でながらも青年を睨み続ける。
しかし青年は怒った様子の千早を見ながらも一瞬キョトンとした顔になりながらも次には気
にしてないようにふっと微笑んで見せたのだ。
「ほんとに悪かったって。確かに君の言うとおりここでバスケットをするのは危ないかもし
れないな」
そう言いながらもも青年はすっと千早に向けて手を差し伸べる、しかし千早はむすっとした
面持ちのまま差し出された手に応えず自分で立ち上がった。見れば自分の周りには自分の事
を心配してか数人の子供達が暗い表情で自分を見つめていることに気づく。
「てな訳で今日の所はここら辺でお開きだ。俺もそろそろ行かないといけないしまた今度遊
ぼうぜ?」
青年の言葉を聞き入れた子供達は「またねー」などそれぞれ挨拶をして早々に去っていった
。
そんな中千早は去っていく子供の1人を見ながらの数年前この世を去った自分の弟を思い出
してしまったのかどこか寂しげな表情になる・・・と
「きゃっ」
いきなり青年が千早の頭をくしゃくしゃと撫でてきたのだ。
突然の事に驚いたのか千早は警戒しながらも青年をまた睨みつける。
「初対面の人の頭を撫でるなんて非常識なんじゃないですか?」
「生憎人並みの常識ってもんを持っていないもんでな、それに・・・」
ケラケラとまるでからかうように青年が笑えば次には微笑みながらも青年は口を開く。
「まるで懺悔するっつうか寂しげに見えたからついな」
それだけ言うと青年は手をヒラヒラとさせながらまるで逃げるようにきびすを返し公園を歩
いて去っていってしまった・・・。
(あの人・・・一体なんなのよ)
千早は不快な気分になりながらも青年に撫でられ乱れた自分の髪を整えながらその青年の後
姿を見送ったのであった。
この先あの青年が自分とどう関わっているのか気づくこともなく・・・
数日後
千早はとある番組のオーディションに受かり落ち着いた様子で控え室に待機していた。
そして数分後プロデューサーの声が彼女に掛けられれば千早は控え室を出る・・・と
「何で・・・あなたがここにいるの?」
そこには今隣の楽屋を出たのであろう様子の青年がまるで千早をからかうように笑いながら
立っていたのだ