ある女の告白-3
大柄な男性は、自分を“二階堂”と名乗り、これからは名字で呼び捨てにするようにと言いました。
私は、戸惑いながら
「いったいどう言う事ですか?」
と訊ねましたが、二階堂は一言も答えてはくれませんでした。
ただ、色の付いた眼鏡越しに私に一瞥をくれると、長い廊下を先に歩いてゆくのでした。
二階堂は、一枚のドアの前に立つとノックをしました。
そのドアは今まで見た他のドアよりも、はるかに重厚で荘厳なものでした。
コンコン…
「入れ」
中から声が聞こえました。
二階堂はドアを開けると、私に先に中に入るよう促しました。
私が戸惑いながら部屋の中に足を一歩踏み入れると、そこは別の世界のような部屋で、置かれている調度品も壁に懸けられた絵画や美術品も、天井から下げられたシャンデリアも、私が今までに見た事の無いようなものばかりなのでした。
シャンデリアは電気では無く、蝋燭を立てて使う年代物のように見えました。
ただ、どの品も私の理解出来る貨幣価値を超えるものだろう…と言う事だけはわかりました。
部屋の中には、大きなテーブルが置かれ、テーブルの片方の端には暖炉を背に一人の男性が座って居りました。
二階堂がその男性に深々と頭を下げた様子に
(この方がお館様なのかしら…)
と、私は心の中で思いました。
男性が二階堂に向かい顎で何か合図をすると、二階堂はドアの真横に、後ろ手に“休め”の姿勢で立ちました。
男性は、私に向かって
「ようこそ、よくいらっしゃいましたね」
優しい声でそう言うと、自分の正面にある椅子に座るようにと言いました。
私の頭の中は疑問符で満たされており、お館様に会ったら訊ねたいと思っていた事が多くありましたが、いざお館様を目の前にすると、ただの一言も口を聞く事が出来無いでいるのでした。
目の前のテーブルには豪華な料理の数々が乗せられ、美味しそうな匂いが私の鼻腔と胃を激しく刺激しました。
それで初めて私が空腹だった事に気付いたほどでした。
お館様は
「まずは食事をしませんか?」
とおっしゃいます。
私はコクリと肯きました。
料理はどれも素晴らしく美味しいもので、中には今まで食べた事の無いものもたくさんありました。
私は、自分の置かれた状況を何一つ理解出来ないまま、欲求に従って空腹を満たしてゆきました。
デザートに冷たいバニラが出てきた頃、やっと私に口を開くだけの余裕が出来ました。
「あの…ここは何処ですか?何故私が居るのですか?」
お館様は、バニラに触れようとしていたスプーンを止めると、私に顔を向けおっしゃいました。
「ここは私の私邸ですよ。あなたは私に飼われる為にここに来たのです」
「か、飼われる?」
私はお館様がおっしゃる意味が理解出来ませんでした。
「ええ、そうです。あなたは私に飼われるのですよ。私好みの女性になって下さい、楽しみにしています」
「い、意味がわかりません…」
「意味は…これから徐々にわかってきます」
お館様は優しく微笑まれると、そうおっしゃいました。
「二階堂」
お館様が二階堂を呼びます。
二階堂は無言のまま私に近づくと、私の腕をとり、お館様の前に連れてゆきました。
目の前で見たお館様は、想像していたより随分とお若く見えました。
裸同然の姿だった事を忘れていた私は、お館様の手が私に向かって差し出され、乳房に触れられた時、自分の姿を思いだし恥ずかしさに顔が熱くなるのがわかりました。
ただ、不思議な事に不快な感じは持たなかった事を覚えています。
お館様は、オーガンジーの上からサワサワと私の乳房を撫でると、指先で乳首に触れました。
「直に見せてごらん」
お館様がそう言うと、アッと言う間に二階堂がワンピースの裾を持ち上げ、私の体から薄衣を剥ぎ取りました。
「ああっ」
私は声を上げ、慌てて胸を隠そうとしましたが、二階堂に両腕を執られ後ろに回されてしまいました。
私は胸を突き出すような格好になりました。
お館様は、目の前に差し出された私の乳房を掴むと
「大きさはボチボチだね。もう少し大きくても良いだろう」
とおっしゃい、
「おや、この乳首はなんだ?駄目だ、小さすぎる」
と言いながら、私の陥没した乳首を摘みひっぱりました。
「ああ…痛い…」
乳首に痛みを感じ、私がそう言うと
「二階堂、乳首をもっと大きくするように、それから常に起っているように…てふにも伝えておけ」
とおっしゃいました。
二階堂は大きく頭を振って肯きます。