大切なもの-1
「なぁ…工藤」
昼食後のひとときを楽しんでいた俺のところへ、ひろはるがやってきた。
と言っても、屋上で昼寝してるだけだけど。
「──んぁ??」
すっとんきょうな声を出して、おれは目を覚ます。
「…なんじゃい」
「俺の話を聞くか、一週間俺に飯をおごるか、選べ」
無茶苦茶だなこいつ。
ゆっくりと体を起こし、ひろはるに目をやる。
「今度はなんだよ…」
あくびをしながら、俺は答えた。
「実はな…」
もったいぶらずに早く言ってくれ…。
「聞きたい??」
「…寝ていい??」
「実は…」
…無視かよ。
「実は……恋をした」
◆ ◆ ◆
俺の名前は工藤 克也。
現在高校3年生。
んで、この目の前にいるのが斉藤 ひろはる。
クラスは違うが唯一無二の親友。
時々こうやって俺に悩みを相談してくるんだが、内容は様々。
非常ベルを押したい衝動をどうすればいいかとか、くだらないことばっか。
…とと。
それより…今回は久々にまともな相談。
「…誰に??」
「1組の宮田リカ」
誰だろう。
隣りのクラスだが、あまり詳しくない。
「初めて聞くけど…誰??」
「なんだ。知らないのか。宮田リカっていえば文化祭でミスに選ばれたあの子だろ。頼むぜ」
えらっそーに。
とはいえ、それで思い出したのも事実。
一か月前に行われた文化祭のイベントでグランプリに選ばれた子だ。