大切なもの-7
「事情を知らないひろはるはもっときついんじゃねーのか」
睨みながら宮田に話す。
言葉を飲み込む宮田。
俺は続けた。
「お前があいつのこと知らないのは当然だからな、少しくらい不審に思うこともあるかもしらねーが、あんな風に言われるようなことしてないだろ。俺は俺の仲間をバカにするやつは誰だろうと嫌いだ」
吐き捨てるように言い、俺は帰ろうとする。
一瞬でも謝るのを期待してた俺がバカだった。
こいつはほんとに──
「まっ待ってよ!!」
宮田の呼び止める声。
「…ぁぁ?」
次は何をしでかすか分からない俺。
「もうお互い用はないだろ。頼むからあいつをフるなら傷つけねーやり方にしてやってくれよな」
「ち、ちがくてっ」
「なんだよ、まだ何かあるのか」
「だ、だから、その…」
言葉に詰まる宮田。
慌てて次の言葉を探すかのように。
なんなんだ…?
そして、
「ごめんなさいっ!!」
そう言って、今度は頭を下げた。
「…は??」
え…どうしたんですか??とつい聞きたくなるくらいの展開。
どういうこと??
「…どう…したいんですか??」
「謝りたかった…の」
「…昨日の件??」
首を縦にふる宮田。
さっきまでとは打って変わって静かなキャラに…。
なんか…怖い。
「急にどうしたんだよ…??」
「だって、あんな風に怒られたの初めてだから………私、男の人が苦手なの!!」
「苦手って…嫌いなのか??」
「そ、そうじゃなくて……怖いっていうかなんていうか…」
もじもじしながら、宮田は話を続けた。
簡単に話すとだな…なんでも一年前まで付き合ってた彼氏に遊ばれた挙げ句、捨てられたらしい。
男に対する信用も、全部消えちまったって話だ。よくある漫画のような話だが、宮田の目は真剣だった。