大切なもの-6
翌日。
ブルーなテンションで学校へ向かう。
明るくあいさつを交わす生徒たち。
俺は教室に入り、とりあえず席につく。
クラスの連中のひそひそ話。
何言ってるかは大体分かるが。
「おーす工藤っ」
先に来ていた同じクラスの男子。
見上げると、ニヤついた顔をしている。
「…おす。どしたんだ」
「昨日1組の宮田にキレたんだってな〜」
「…まぁ…な。おかげで朝からテンション低いわ…」
「ははっ。お前も言うなぁ」
そいつと先生が来るまで話し込む。
だんだん昨日のこともどうでもよくなってきて、いつの間にか気分はもとに戻った。
時間は過ぎて、帰り。
「さて…帰るかな…」
大きく伸びをして、かばんを手に取る。
教室を出て、階段を降りようとしたときだった。
「ちょっと」
ふいに、誰かに呼ばれた。
振り向いた先にいたのは、宮田だった。
げ…。
もう用は特にないから、ほうっておくつもりだったんだが…。
「…なに??」
若干不機嫌そうに答える俺。
しかし宮田は、
「話があるんだけど」
相変わらずの態度。
「あぁ…いいよ」
「昨日のこと…」
やっぱり…。
まぁ、それ以外でうちらが関わることなんてないよな。
「なに??」
俺が聞くと、宮田は少し怒ったように、
「謝ってよ」
と言ってきた。
「は??」
思わず口にしてしまった。
謝るって、何を??
まさかこいつ…。
「昨日のこと。あんなに人がいるところで恥かかせられたんだからっ」
…なんなのこいつ。
てっきり謝ってくるかと思えば…。